気軽に楽しめるボルダリング体験と絶品蕎麦を堪能!

塔ノ岳や鍋割山への登山口となる秦野市「大倉」では、登山前後に利用できる休憩所やカフェ・売店だけでなく、「神奈川県立秦野戸川公園」や「秦野ビジターセンター」など丹沢の自然に気軽に触れ楽しむことができます。今回はボルダリング初心者も気軽に利用できる「はだの丹沢クライミングパーク」と、打ち立て蕎麦が評判の老舗「手打そば さか間」を巡るコースをご紹介します。都心からのアクセスも良い丹沢の麓「大倉」で、クライミング体験と美味しいお蕎麦をお楽しみください。

ボルダリング初心者も大歓迎「はだの丹沢クライミングパーク」

「はだの丹沢クライミングパーク」は、東京ドーム約8個分、36.1haの広さを誇る神奈川県立秦野戸川公園の一角に2020年6月にオープンした秦野市のクライミング(ボルダリング)施設です。幅20メートル、高さ5メートルの大きな壁(ウォール)が前後に2面。その壁には手がかり、足がかりとなる大小様々、複雑な形をした「ホールド」が散りばめられています。

温かい日には前面のシャッターが上がり、気持ちのよい日射しと空気を感じながらクライミングを楽しむことができます。

整った設備と経験豊かなスタッフの方々が常駐しているため経験者のみならず、実は子どもや女性の利用も多いそう。初めての利用には、利用者登録(誓約書の提出)が必要です。約15分間の初心者講習を受けることで、シューズの選び方や準備体操、利用のルールから安全のための約束ごとまでをしっかりと理解した上でウォールを利用することができます。

更衣室ロッカーは無料で、シューズのレンタル費用は200円(靴下は持参してください)、施設利用料も大人1時間500円~とお手頃価格で気軽に楽しむことができます。初めてクライミングを体験するには打ってつけの場所です。

外光も入り明るくて気持ちの良いスペースに設置された幅20メートル、高さ5メートルのウォールは圧巻。丹沢山系の山々の名前が付いた個性的なコース(課題)が幾つもあります。冷暖房完備のため天候に左右されずにオールシーズン楽しむことができます。

「腕力で登るのではなく、バランスで登るのがクライミングです。力のないお子さんも楽しむことができますよ」と、話すのは初心者講習やボルダー教室も担当されてるOさん。

月に1回程度開催されるボルダー教室の初級、中級者向けの120分講座は、定員10名で参加費1,000円(秦野市民は無料)と良心的価格ながら内容は充実しています。ボルダリングが初めてという方も参加できる教室もあり、基礎を学びながら、易しい課題からステップアップを図ることができます。まずは「ボルダー教室」初級クラスに参加することが、クライミングの面白さを実感する近道かも知れません。(ボルダー教室の日程ははだの丹沢クライミングパークホームページをご確認ください)

ホールドの形や大きさ、その配置で難しさが大きく変わるそうで、ウォールに設けられた多様な課題(コース)が、初心者のみならず上級者も飽きさせません。

「実は登る前にどのようなコース、どのホールドを使って登るかというシミュレーションが大切なのですが、それはパズルを解くようなもの。とても頭脳を使うスポーツがクライミングです」とOさん。講師や練習される上手な方の身体の使い方、ホールドの選び方を見ることも面白く、それを自身のコース取りや身体の使い方に活かして課題をクリア出来た時の歓びは日常にはない嬉しさです。

営業時間は朝9時~夜9時まで。午前中からじっくり楽しむこともできますし、午後半休を取って秦野までクライミング体験に出かけるという余暇も心身をリフレッシュするよい時間となりそうです。

塔ノ岳や鍋割山など丹沢山系の人気の山々への登山口となる大倉は、小田急線渋沢駅からのバスで約15分。朝6時台から夜8時台までバスが運行されています。さらに週末は本数も多く、都心からのアクセスも容易。終点の「大倉」でバスを降りると目の前に広がる表丹沢のダイナミックな山容と澄んだ空気が出迎えてくれます。

秦野戸川公園にある「秦野ビジターセンター」では、丹沢近隣の植物や動物などに関連した展示や情報が充実しており丹沢の自然を知ることができます。また広い園内には複数のウォーキングコースがあったり、バーベキューや川遊びも楽しむことができます。クライミング体験と合わせ、自然豊かな秦野戸川公園でゆっくりとした時間を過ごすこともお薦めです。

クライミングを存分に楽しんだ後は、大倉で人気のお蕎麦屋さんで食事を楽しみましょう。はだの丹沢クライミングパークから「手打そば さか間」までは、秦野戸川公園の中心を流れる水無川の上にかかる徒歩専用のつり橋「風の吊り橋」を渡って、約9分。丹沢山系の山容を眺めながらゆっくりと歩けばあっという間に到着します。


自家製粉の打ちたて茹でたて蕎麦が評判のお店「手打そば さか間」

大倉のバスロータリーからすぐ。三角形の屋根が目を引く古民家風の建物が「手打そば さか間」です。登山やハイキング後の食事に立ち寄る方に限らず、遠方からお蕎麦を目的に大倉まで足を運ぶ方も多い、蕎麦好きに支持される人気店です。

「うちは北海道から長崎県対馬まで全国の蕎麦農家さんや産地と直接契約して約30種の蕎麦の実を毎年仕入れています。十割蕎麦1種、二八蕎麦2種と毎日3種類のお蕎麦を打ち分けて、新鮮なお蕎麦を提供しています。」と話すのは、丹沢の山にも時々登るという店主の阪間豊さん。2001年にお父様が開店したお店を、15年前に引き継がれた2代目がお店を切り盛りしています。

蕎麦の実をゆっくりと時間をかけ自家製粉し、生地を打ち、丁寧にのして細切りの蕎麦に仕上げてゆきます。3種類の蕎麦を日に数回ずつ仕込むのは大変なお仕事です。時間と体力のいる工程ながら無駄のない所作が力強くも美しく、それが提供されるお蕎麦の味にも現れているようです。

「全国各地の美味しい蕎麦の良さを引き出すのが丹沢の水です」と語る豊さん。正午を待たず売り切れることも多いという十割(とわり)蕎麦は通が虜になる至福の一品。一方、冷たいお蕎麦には必ず「玄」と「抜」2種類の二八蕎麦が並んで盛られた「ざる」が珍しく、二八蕎麦を目当てに来店される方も多いそうです。

この日の冷たい二八蕎麦は、北海道産蕎麦の皮を抜いた「抜き実」で打った明るい色合いの「抜蕎麦(左)」と山梨県産蕎麦の皮も一緒に製粉した「玄蕎麦(右)」の2種。蕎麦を口に運ぶと、野趣あふれるそれぞれの風味が口の中に広がります。蕎麦つゆは2種類の濃い口醤油をベースした「かえし」を素にした自家製。つゆのほのかな甘さが醤油の旨味を引きたたせ、蕎麦が一層美味しく感じます。(蕎麦の産地、品種は日替わり。店内の看板で確認できます)

四季を問わず人気の「鴨せいろ」は炭火で焼いた鴨肉と焼き色のついた香ばしい葱が別盛りで提供されます。濃厚な鴨の脂としっかり焼かれた葱の甘さがお蕎麦によく合います。

また世代幅広く支持されるのが「かき揚げせいろ」です。小海老と葱の具がたっぷりのかき揚げは食べ応えも充分。サクサク食感のかき揚げとお蕎麦を交互にいただくと、あっという間にお腹がいっぱいに。冷たいお蕎麦のメニュー各種にはそば湯も提供されます。(冷たい蕎麦各種は十割蕎麦に変更できます)

温かいお蕎麦も豊富なメニューが用意されています。中でも女性に人気なのが「にしんそば」。一週間かけて仕込むという、ふっくらと炊き上げられた肉厚なニシンの身の甘じょっぱさが格別です。濃厚な味付けと食感が絶妙で、ほどよく残ったニシンの脂の旨味が熱々のお蕎麦と合わさり食が進みます。寒い季節だけでなく、夏場も人気というのも頷けます。

お店を継ぐ以前は都内で和食の板前さんをされていた豊さん。「蕎麦だけでなく、お酒にあう肴メニューも取り揃えています。女性にはデザートも好評です」とのこと。

地元神奈川や丹沢周辺の日本酒を中心に美味しいお酒も各種用意されています。お蕎麦屋さん定番の板わさや天ぷら類をはじめ、おまかせの「酒肴3点盛り」や「焼きみそ」などを味わいながらゆっくりとお酒をいただくのも大人の嗜み。蕎麦茶と豆乳を使った自家製の「蕎麦プリン」は、とろける食感にほのかな蕎麦の香りが食後にぴったり。

バス停も近く、食事と一緒にお酒を楽しんでも安心して帰路につくことができます。

ノスタルジックな雰囲気の店内席の他に、店舗裏には屋外席の用意も。天気の良い日は丹沢の山を眺めながら食事が楽しめます。

はだの丹沢クライミングパークでのボルダリング体験に限らず、丹沢の山々への登山やハイキング、秦野戸川公園で自然と触れ合った後のお食事に、新鮮な蕎麦が美味しい「手打そば さか間」をご利用ください。お友達やご家族連れはもちろんのこと、お一人様での利用も大歓迎とのことです。


この記事のスポット情報

今回は、小田急線を利用し、神奈中バスで大倉を訪れ、ボルダリング体験ができるクライミング施設と人気手打ち蕎麦店を紹介しました。渋沢駅までは新宿駅から約70分で到着します。

豊かな自然の中で身体を動かしたり、美味しいものを味わうことができる丹沢へ、ぜひお出かけください。

※掲載情報は取材日時点(2023年12月)のものです。

INFORMATION

はだの丹沢クライミングパーク

神奈川県立秦野戸川公園の一角に2020年6月にオープンしたクライミング(ボルダリング)施設です。幅20メートル、高さ5メートルの大きな壁が前後に2面。スタッフが常駐し、初心者の方には初心者講習を実施。女性や子どもの利用も大歓迎で、月1回程度開催されるレベル別のボルダー教室も人気です。

INFORMATION

手打そば さか間

全国各地から厳選して取り寄せたそばの実を、その特徴を生かした製粉方法で十割、二八そば用に挽き分けられ、熟練の技で手打ちされています。お蕎麦の他にも酒の肴として地元の食材を生かした料理も豊富に取り揃えています。