伊勢原でいただきます!スープも絶品アジアの麺
大山の最寄り駅となる伊勢原駅周辺には、個性豊かな飲食店が軒を連ねています。その中で2020年以降に開店し、女性のリピートが多い麺処をご紹介します。「Japanese Noodles 娘娘(にゃんにゃん)」と「ベトナム食堂そら屋」です。どちらも伊勢原駅から徒歩2~3分の場所にあり、地元民にも重宝されている人気のお店です。
大山散策とあわせて寄りたい!毎日でも食べたくなる透き通ったスープが絶品「Japanese Noodles 娘娘(にゃんにゃん)」


神奈川県ほど、ラーメン食文化の多様化が進み、老若男女の異なる嗜好に応えることができるエリアは少ないのではないでしょうか。横浜中華街はもちろん、戦後 伊勢佐木町で生まれたと言われる「サンマーメン」は町中華の定番となり、力強い豚骨醤油の「家系」は全国区の人気を誇ります。さらに近年、魚介ダシの透明感あるスープが特徴の「淡麗系」は女性からも厚い支持を受け、進化を続けています。
そんな中、2022年に満を持して伊勢原市にオープンしたのが「Japanese Noodles 娘娘(にゃんにゃん)」です。伊勢原駅のホーム西端からも見えるほどの駅近で、アクセスも抜群。「毎日食べたくなるラーメン」というコンセプトの通りリピーターも多く、3周年を迎えしっかりと地域に根付いているお店です。


店内は、カウンター席と小上がりの卓が並んでいます。最近のラーメン店には珍しい小上がりの畳がかえって新鮮。靴を脱いで座布団に座り、着丼を待つのもくつろげるひと時になりそうです。なお、注文は券売機で食券を購入するスタイル。現在は現金のみの対応です。
カウンター越しに見える大きな寸胴鍋では、お店の命とも言えるスープが仕込まれています。「スープには、名古屋コーチンなどの鶏ガラをメインに、煮干し、鯖節(さばぶし)、鰹節(かつおぶし)、鯵節(あじぶし)といった魚介の乾物を使います。8時間ほど炊いて仕上げています」とは、店主の宮下さん。強すぎない火加減でじっくり時間をかけることで、鶏と魚の濃厚な旨味やコクを抽出しながら、透明感のあるスープを作っているそうです。
宮下さんは、お隣秦野市ご出身で、伊勢原市内の高校に通っていたという地元民。米国の日本式ラーメン店や国内のフレンチ、イタリアンのお店でも調理を経験し、地域としっかりと関わるために伊勢原での開業を決意しました。国内外で培った飲食店経験と知識を駆使し、娘娘の味を完成させたと言います。


メニューは塩味の「天然塩ラーメン」と醤油味の「中華そば」の2種類が基本。今回は、せっかくなので一番人気の「全部のせ塩ラーメン」をオーダーしました。
お店の切り盛りを任されている加藤さんが丁寧に調理を進めます。麺は、都内の製麺所から仕入れる娘娘仕様で、国産小麦の全粒粉をブレンドしたストレート麺。店内で手作りされるワンタンと一緒に茹で上げ、熱々のスープに丁寧に盛り付けます。

「全部のせ塩ラーメン」は、ワンタン、鶏チャーシュー、豚チャーシュー、味玉、メンマ、そしてたっぷりのネギと海苔がのり、麺が見えないほど具沢山。湯気とともに香り立つ丼から、まずは澄んだスープをひと口。沖縄産などを厳選してブレンドしたという塩味が、鶏と魚介ダシのスープと合わさり、スッキリなのに濃厚な味わいを作りだしています。和食にも通じる繊細さ。これが「Japanese Noodles」を掲げる所以なのかもしれません。


たくさんの具をかき分けて麺をすくい上げると、スープをまとった全粒紛のふすまも見える麺が現れます。コシがあり、小麦の旨味を感じる麺は、思わず笑みがこぼれる美味しさです。こうなるともう箸が止まりません!
バラエティ豊かな具も楽しみです。低温調理された鶏チャーシューや大判の薄切り豚チャーシューも格別ですが、何といってもワンタンの存在感が圧倒的です。ツルりとした皮の食感、そしてショウガとスパイスが効いた豚肉の旨味が良いアクセントになり、一杯の完成度を高めているようです。白醤油で味付けされた味玉や、驚くほど柔らかい穂先メンマも絶品です。
麺やワンタンと同じ製麺所の肉厚な皮を使い、店内で手包みしている餃子も多くのお客さまが注文されるという人気メニューとのこと。野菜よりも肉の量が多いのでは?というほど肉感強めで、ニンニクもしっかり効いていますが、どこか爽やか。聞けば、タネに使う野菜はセロリのみとのこと。白菜でもキャベツでもなくセロリで作る餃子とは、ユニークです。ラーメンと一緒にぜひ体験していただきたい一品です。

こちらは「自家製ワンタン中華そば(醤油)」です。醤油スープも、マイルドながらしっかりとした旨味を感じます。御殿場の醤油蔵から仕入れた生醤油をはじめ、数種の上質なお醤油を独自にブレンドして調味しているのだとか。
具は、ワンタンとメンマとネギという潔さ。たっぷりのワンタンの下には、国産小麦「春よ恋」をブレンドして打たれた麺が隠れています。小麦の香りと旨味を感じる細めの麺は、醤油スープとの相性も抜群。塩ラーメンと醤油味の中華そばで麺を使い分けている点にもこだわりを感じます。
娘娘は、一般的に鶏ガラと魚介ダシを合わせたスープなので淡麗系に属しますが、多様な調理経験を持つ宮下さんが作りだす一杯は、他では体験できない「娘娘ならでは」の味わいです。
店名は、老若男女(ろうにゃくなんにょ)の音に近いことから、「世代や性別を問わず、だれもが毎日食べたくなるラーメンにしたい」という想いを込めて名付けられたそう。トレードマークの猫のイラストもキュートです。
伊勢原周辺のレジャーと合わせて、娘娘の熱々の一杯「Japanese Noodles」を体験してみてはいかがでしょうか。ランチタイムのラストオーダーは15時と遅めで、早めに下山すれば間に合う時間帯なのが嬉しいですね。夕方は、18時からの営業です。大山ハイキングの締めくくりにぜひお立ち寄りください。
※掲載情報は取材日時点(2025年12月)のものです。
INFORMATION
Japanese Noodles 娘娘(にゃんにゃん)
伊勢原駅から徒歩すぐ、「Japanese Noodles 娘娘(にゃんにゃん)」は、大山ハイキングなど伊勢原散策の食事にお薦めです。フレンチやイタリアンの経験も持つ店主が作るラーメンは、鶏と魚介の旨味が凝縮された透明感あふれるスープが自慢。塩と醤油で麺の種類を使い分けるこだわりで、自家製ワンタンも人気です。「毎日食べたくなる」と評判の、心と体に染み渡る一杯をぜひ体験してください。
「麺料理大国」ベトナムの家庭的味わいのフォーやブンが評判の「ベトナム食堂 そら屋」


歴史的に中国やフランスの影響を強く受け、タイやカンボジアなどインドシナ各国の食文化とも通じる料理と言えば、フォーや生春巻き、バインミーなどがすっかり定着したベトナム料理です。実は、ベトナム国内だけで100種類以上もの麺料理があると言われ、米粉の麺を中心にとてもバラエティ豊かな麺料理大国だということをご存知でしょうか?
伊勢原駅北口から徒歩2分ほどの「ベトナム食堂 そら屋」は、その米粉麺の代表的なフォーとブンを使った麺料理や自家製春巻きをいただけるお店です。ベトナム出身のオーナー、トゥイさんがつくる本場の家庭料理の味が評判で、たくさんのお客さまの支持を得ています。
ターコイズブルーのドアを開けて店内に入ると、北欧調のオフホワイトとブルーグレーの壁にモダンな絵画やスワッグが飾られた居心地のよい空間が広がっていて、お洒落なカフェの雰囲気です。カウンター席もあるので、お一人でも気軽に立ち寄って食事を楽しむことができます。

生春巻きはお店を代表する前菜メニューです。そら屋では、茹でた海老、レタス、パクチー、きゅうり、大葉、卵焼き(またはビアソーセージ)がモチモチ食感のライスペーパーに包まれて供されます。ヌクマム(ベトナムの魚醤)、お酢、唐辛子、きび糖などを使ったピリ辛の特製タレをつけて頬張ると、ベトナム語で「ゴイ(包む)・クオン(和え物)」という料理名の通り、それぞれの具材とタレの風味が口いっぱいに広がり、食感の違いも楽しめます。ぜひ麺類と合わせてお召し上がりください。


それでは、メインの麺をいただきましょう。ベトナム北部が発祥とされるフォーは、米粉の生地を平らに薄く伸ばし、きしめん状にカットした麺で、鶏肉や牛肉の具をトッピングして、あっさりしたスープの汁麺で食べるのが一般的です。
そら屋の「鶏肉のフォー」は、豚骨と鶏ガラ、玉ねぎをじっくりと煮こんだスープで、香ばしく炙った蒸し鶏に焦がし玉ねぎ、パクチー、長ねぎが添えられています。シンプルな塩味ながら、深いコクと旨味があり、スープを最後まで飲み干せるほどの美味しさです。お好みでレモンを絞り、自家製サテ(米油に唐辛子やニンニクなどを加えヌクマムで調味したラー油)を少し加えると、キリっとした味わいへの変化を楽しむことができます。
パクチーが苦手な方は、「無し」のオーダーもOK。逆に「追いパクチー」の注文もできるので、パクチー好きには嬉しいですね。

そして、ベトナムで最もポピュラーな麺であり、国民食とも言われているのがブンです。フォーと同様の、米粉を原料とする麺ですが、生地を小さな穴から押し出してつくるので、断面が丸いそうめんのようになっています。また、製造工程で乳酸発酵させているので、色が白く、つるつるでプルンとした食感が特徴的です。
いただいた「ブントムカイ」は、海老で出汁をとった濃厚なスープが麺によく合うピリ辛の汁麺です。茹でた海老、トマト、キクラゲ、パクチー、青しそ、ノコギリコリアンダーなど、たっぷりの具材がのり、自家製サテも添えて提供されます。ほどよい辛さで旨味たっぷりのスープ、海老とキクラゲ、爽やかなトマトといった具材のバランスもよく、お店でも人気メニューの一つというのが頷ける一品でした。
ブンを使った料理としては汁麺のほか、タレにつけて食べるつけ麺や、肉や野菜、ナッツなどをトッピングしてタレをかける混ぜ麺などバリエーション豊富で、そら屋のメニューにもラインアップされています。

食後の時間も楽しみましょう。深煎りのコーヒー豆を粗目に挽いて、専用の金属製ドリッパーで淹れるのがベトナム流です。濃くて苦みが強いベトナムコーヒーは、甘いコンデンスミルクを混ぜて飲むのが一般的で、お店でも人気のメニューとのこと。
さらに珍しいベトナムコーヒーは、ドリップしたコーヒーを氷で冷やし、ヨーグルトとコンデンスミルクと合わせる「カフェスアチュア(ヨーグルトコーヒー、写真上)」。びっくりするような組み合わせですが、甘みとヨーグルトの爽やかな酸味でコーヒーの苦みがマイルドになり、新感覚の美味しさです。ベトナムでは、市場や街角のカフェでも普通に飲むことができるそうです。


料理を担当するトゥイさんは、ベトナム中部のダナン市のご出身。一緒にお店を切り盛りする岩谷さんが仕事でベトナムに赴任されていた時に出会い、ご結婚後、2008年に日本へ移住されました。
トゥイさんは、昔から料理が好きで、人と話すのも大好きだったそうで、学生時代に早くも小さな飲食店を経営していたというから驚きです。移住後、伊勢原ではネイルサロンの仕事をされていましたが、2019年に地元のイベントでフォーと揚げ春巻きを販売したところ、これが大評判となります。
「いつかは夫婦で飲食店をやりたい」という夢を持っていたお二人は、イベントにいらしたお客さまからのたくさんの要望もあり、ベトナム料理店を始めることを決意。2020年11月に「ベトナム食堂 そら屋」をオープンします。
コロナ禍による休業や時短営業要請という困難な状況が続く中で、「引きこもると潰れてしまう」(岩谷さん)という危機感から、テイクアウト販売や地元物産の直売所でのお弁当販売も開始。徐々に知名度も上がり、お客さまの層が広がっていきました。
時短営業が解除されてからは、お店の営業と並行して、地域内での定期的なお弁当販売をはじめ、県内各地のイベントへも積極的に出店、そら屋のベトナム料理の評判も定着してゆきました。
そら屋のフォーやブン、春巻きはトゥイさんのお祖母様からの直伝レシピでつくられ、化学調味料を使用せず、受け継いだ家庭料理の味を大切にされています。さらに、ベトナム料理に欠かせないパクチー、ミント、レモングラスなどの香草類は近くの畑で自ら育てたフレッシュなものを使用しているそうです。
料理を盛り付ける器も魅力的です。「ザラザラした手触りが好きなんです」とトゥイさんが語る、ベトナム南部の代表的な焼き物「ソンべ焼き」で、手描きで絵付けされた花柄の温かい色調、ぽってりとした素朴な風合いが特徴です。
ベトナムの食と文化を愛するトゥイさんと岩谷さんが開いたそら屋。素敵な器で供されるフォーや生春巻きをいただきながら、彼の地のお話を伺うのも楽しい時間となりそうです。
お店は、伊勢原駅からほど近い場所にあります。大山や日向薬師への観光やハイキングにいらした際に、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
※掲載情報は取材日時点(2025年12月)のものです。
INFORMATION
ベトナム食堂 そら屋
ベトナム・ダナン市出身のオーナーがつくるフォーやブン、生春巻きが人気のベトナム家庭料理の専門店です。ご自身のご祖母のレシピで、自ら畑で育てたパクチーやレモングラスなどの香草を使い、本場の家庭料理の味わいを提供しています。コンデンスミルクと合わせる独特のベトナムコーヒーも楽しむことができます。