伊勢原カフェ案内。和メニューが話題の新店と手作りスイーツも評判の自家焙煎コーヒー専門店
大山の麓、伊勢原市は古くから大山街道や矢倉沢往還など東海道と並行する主要路が通る交通の要衝で、多くの人々が行き交う街道沿いの町として栄えていました。その賑わいを受け継ぐように、現代の伊勢原でも、地域に根差した素敵なカフェに人々が集い、憩いの時間を楽しんでいます。伊勢原駅近くの「café Fülat(カフェ フラット)」と愛甲石田駅近くの「CAFE RICO」をご紹介します。どちらも周辺地域のお客さまをはじめ遠方からもお客さまが訪れる人気店です。
長野県産の食材にこだわったフードやスイーツが人気の「café Fülat(カフェ フラット)」

大山や丹沢の懐に抱かれた伊勢原市は、八ヶ岳の麓に位置する長野県茅野市と豊かな自然、緑の多い環境という共通点が多いことから、1986年に姉妹都市提携を結び、芸術・文化の交流を続けています。
伊勢原市を代表する「道灌まつり」では、諏訪大社の「御柱里曳き(おんばしらさとびき)」にならい、茅野市から運ばれたご神木を曳行する里曳きが行われ、祭りのハイライトの一つとなっています。(道灌まつりでの里曳きは不定期開催で、市政の周年記念などのイベント年に合わせて実施されています)
そんな伊勢原市に、長野県ご出身の女性が営む「café Fülat(以下、カフェ フラット)」があります。伊勢原駅北口から伊勢原大神宮を目指して大通りを歩くこと8分ほど。長野県産の食材をふんだんに取り入れた軽食やスイーツが人気です。店舗横には、テラス席もあり、地域の方たちが気軽に立ち寄って飲食を楽しめる人気のスポットとなっています。


愛嬌を感じるデザインの店名ロゴの看板と入口に掛けられた和モダンな暖簾が素敵です。暖簾の丸い意匠は「山あいから覗く太陽」を表し、自然豊かな故郷(長野)の景色をモチーフにしたものだそうです。入口にあるレジカウンターで、先にオーダーをします。


店内は、オフホワイトの壁に囲まれ、大きなガラス窓から自然光が入る明るい空間となっています。コンパクトな店内ですが、高さの異なるカウンターテーブルやスツールを配置することで、お客さま同士の視線が合わないよう工夫されており、窮屈さを感じさせません。
フラワーアーティストが手掛けた1点もののフラワーシャンデリアがシンプルなインテリアに華やかさを演出しています。

長野産にこだわるお店ならではのフードメニューが、店主自ら収穫した戸隠産新米のおむすびと長野の郷土食おやき、そして、善光寺平の生味噌を使った「麹とん汁」です。
おむすびとおやきはそれぞれ6種類あります。この日は、「大葉・梅・なめ茸のおむすび」と「野沢菜のおやき」をいただきました。食べ応えがありながらヘルシーで、具沢山のとん汁とともに、しっかりと満足感のあるランチとなりました。お腹の空き具合に合わせて、一つから注文できるので、小腹が空いた時の「おやつ」に利用するお客さまもいらっしゃるそうです。


おやきは長野市北西部、鬼無里(きなさ)地区にある創業100年超の老舗から仕入れて提供しているとのこと。小麦粉と蕎麦粉でつくった生地に具材を包み込み、蒸してから焼くのが一般的なおやきですが、この老舗のおやきは油でサッと揚げてから、高温のオーブンで焼き上げたもの。こんがり、ふっくらした食感が独特で、お子さまからお年寄りまで食べやすく、冷めてもしっかりと皮と具材の風味を味わうことができます。
カフェ フラットでは、野沢菜(写真左上)をはじめ、ぶなしめじ、ねぎみそ、きりぼし大根、かぼちゃと季節限定品(夏~秋の茄子など)の常時6種類のおやきを販売しています。
また、「麹とん汁」は、豚のバラ肉とロース肉に、大根、人参、ごぼう、玉ねぎ、長ねぎといった野菜がたっぷりの具沢山。ブレンドされた2種類の信州味噌(中辛口、麹たっぷりの甘口)が肉の旨味と野菜の甘みを引き立て、絶品の味わいです。添えられた七味唐辛子も、江戸時代から続く善光寺前の老舗のものだそうです。
おやきもとん汁も単品での注文が可能で、温かいままテイクアウトもできます。

店主のご祖母とご家族が長野・戸隠の田んぼで大切に育て、収穫したお米でつくるおむすびは、ツナマヨ、枝豆・昆布・じゃこ、鮭、塩むすび、大葉・梅・なめ茸、野沢菜・豚キムチというラインアップ。炊き立てツヤツヤのごはんが具材をふっくらと包み、頬張ると思わず笑顔になります。テイクアウト用には個包装のプラ容器が用意されているので、伊勢原散策など外出先での食事にも便利ですね。


食事だけでなく、スイーツを目的に来店されるお客さまも多いというカフェ フラット。中でも、小布施名産の栗を使った自家製スイーツが人気です。美しく搾りだされた栗ペーストの中に生クリームと大粒のイチゴが丸ごと入った「ふらっとモンブラン」(季節限定)は、濃厚な栗の風味と自然な甘さ、みずみずしいイチゴの香りと酸味のハーモニーが口いっぱいに広がります。
ねっとり滑らかな食感の「ふらっと栗影(くりかげ)」(写真右)は、ストレートに栗の美味しさを味わえ、緑茶はもちろん、コーヒーや紅茶との相性もよいスイーツです。


ドリンクはコーヒー、紅茶、緑茶の他に、細切り生姜とレモンの皮を煮込んだシロップでつくる自家製ジンジャーエール(アイス/ホット)が爽やかな辛さでおススメです。また、長野県産りんご(シナノスイート)の果汁100%ストレートジュースや、栗のスイーツにも使用している「小布施牛乳」もサラッとした飲み口とコクで人気とのこと。
さらに、ジェラートも通年で販売されています。ミルク、苺ミルク、モンブラン、アフォガードの4種類が定番で、シャインマスカットやナガノパープルを使った季節限定の珍しいジェラートを楽しみにされているお客さまも多いそうです。

お店を営む渡邊さんは長野市のご出身。カフェを始めるきっかけは、実家のご両親に「老後の楽しみに、カフェでもやってみたら?」と提案したことだったそうです。そこから、お店を開くという夢に向かって動き始めます。
2023年にご両親と渡邊さんご家族が住む自宅が完成後、ご自宅前に店舗用建物を新設し、2025年7月「café Fülat(カフェ フラット)」をオープンしました。ご両親へカフェの提案をしてから5年、見事に夢を実現させました。
メニューは、ご本人が生まれ育った長野への愛着に加え、祖母様が戸隠で米づくりをしていることや、ご親戚がブドウ農家ということもあり、長野県産食材にこだわった品揃えになりました。
営業は週に3日(金曜&土曜、日曜は不定休)のみで、ご家族と長野県出身の女性スタッフとで切り盛りされています。フードの調理と接客は渡邊さんとスタッフが担当、栗のスイーツとジンジャーエールづくりはご両親という具合に、「オール長野」で対応されています。
店名は、散歩の途中にでも気軽にフラッと立ち寄っていただきたい、という思いからのネーミングとのこと。また、お店の建物が平屋(フラット)ということもあったそうです。
お店のテーマとしているのが、「故郷を懐かしく思える場所、落ち着いて昔を振り返れるカフェ」ということもあり、「長野の思い出を話してくださるお客さまが多くて、びっくりしています」と渡邊さん。今では、お客さまの故郷や信州とのつながりを想起させる特別なカフェになりつつあるようです。
信州の美しい山並みを思わせる景色が多い伊勢原市へお出かけの際は、フラッと立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
※掲載情報は取材日時点(2026年2月)のものです。
自家焙煎の技と丁寧に淹れたコーヒーが主役のカフェ。軽食やランチ、スイーツも評判「CAFE RICO」


江戸時代に大流行した大山詣り。各地から大山へ通じる道は、大山街道と呼ばれ多くの往来があり栄えてきました。その中で、もっともメジャーだったのが、赤坂御門と大山を繋いだ青山道、矢倉沢往還(やぐらざわおうかん)とも呼ばれた古道です。時代が移り変わった今、その道は国道246号線となり、多くのクルマが行き交っています。
小田急線「愛甲石田駅北口」から、その道沿いを歩いて5分ほど。子安神社交差点角にあるのが、「CAFE RICO(カフェ リコ)」です。往時には、多くの人々が行き交う大山道だったこの場所に、2000年にオープンした「CAFE VAMOS」を引き継ぎ、2012年6月に自家焙煎コーヒーと軽食やスイーツのお店としてリニューアルオープンを果たしました。店主の内藤さんが、スタッフの皆さんと一丸となって、お店を切り盛りしています。


大手チェーン店が立ち並ぶ国道246号線沿いでは珍しい個人経営のお店です。美味しいコーヒーだけでなく、評判のランチやスイーツを求め、近くで働く方や学生さん、そして週末には遠方からもこのお店を目指して来店されるお客さまも多い人気店です。定休日の月曜を除いて、10時~18時まで営業しており、自家焙煎の豆を丁寧にハンドドリップした、至福のコーヒーが味わえるお店として重宝されています。
平日、土日を問わず営業日の11時~14時30分(ラストオーダー)のランチタイムには、タコライス(写真左)やスパイスキーマカレー、ハヤシライス、そして本日のピザ(内容は日替わり)をいただくことができます。
チーズやトマト、レタスなど生野菜がたっぷりトッピングされ、スパイスとガーリックが香る挽肉が食欲をそそるタコライスは、女性にも人気の一品とのこと。これらフードメニューの多くも店内で手作りして提供しており、その優しさ漂う味をもとめて、ランチタイムは多くのお客さまが来店します。
ほんのりスパイシーなタコライスにぴったりなのが、「コーヒーフロート」です。驚くほどの量のアイスクリームがトッピングされたクリーミーなアイスコーヒーは、タコライスとも相性抜群。ベースとなるアイスコーヒーは、もちろん自家焙煎豆、深煎りのイタリアンブレンドを惜しみなく使った強い味わいが支持されています。

看板メニューのホットコーヒーを、いただきましょう。浅煎りから深煎りまで異なる焙煎度や、ブラジルやコロンビアをはじめとした南米系、タンザニアやケニアなどのアフリカ系、珍しいところではインド産と世界の主要産地の豆が揃っています。さらにブレンドやデカフェも入れると、常時14種の豆を取り揃えているそうです。いずれもホットでもアイスでもオーダーすることができます。
スタッフの方と相談しながら、その日の一杯をオーダーするのも楽しそうです。この日ドリップしていたのは若手スタッフのIさん。豆がもつ本来の風味を引き出すように、余念がありません。


もっとも人気のコーヒー「リコ ブレンド」は、南米の豆を中心としたオリジナルブレンドで、苦み、酸味、甘み、香りといずれもバランスの取れた一杯で、ほどよくコクも感じます。オーダーを受けてから、ゆっくりとハンドドリップで時間をかけて淹れてゆきます。丁寧に抽出されたコーヒーは、雑味がなくすっきりとした味わい、飲みやすいのが印象的です。
絶品のコーヒーと一緒にいただきたいのは、特製スイーツです。リコ風ワッフルプレーン(写真右)は、プレーンという名称ながら、バニラアイスクリームがたっぷりのったボリュームのある一品です。バニラアイスが溶けきる前に、熱い生地と一緒にいただきましょう。
他にも、「珈琲ゼリー」や「珈琲アフォガード」などのコーヒーを使った甘味をはじめ、ガトーショコラやチーズケーキなどのケーキ類も店内で製造した自家製で、リピートされるお客さまが多い人気メニューとのこと。終日オーダーできるトーストや「本日のピザ」などの軽食メニューも充実しています。

店内では、ほぼ毎日いずれかの豆を自家焙煎しているとのこと。仕入れた新鮮な生豆を、VAMOS時代から使い続ける大きな焙煎機で、丁寧に焼いています。ガスを熱源に使用し、一度に2~3kg程度の豆をローストしているそうです。熱い夏場は、さぞ大変でしょう。


開店以来、焙煎の品質には特に気を使っていると内藤さんは言います。現在、スタッフの中でも焙煎を担当するのはごく限られた熟練の方のみ。色づき具合やはぜる音、そして燻された香りをチェックし、温度計などの記録を取りながら、焙煎度を見定める作業は、集中力と瞬発力が求められます。湿度や温度を含め、季節ごとに微妙に変化する焙煎の加減は、経験と熟練の技があってこそ。CAFE RICOのコーヒー豆が、丁寧に焼かれていることが分かりました。

店内で焙煎された14種類ものコーヒーは、店内でホットコーヒーやアイスコーヒーとしていただくだけでなく、テイクアウトで持ち帰ることも。そして焙煎されたコーヒー豆も、50g単位で購入することができます。近くにコーヒー豆を販売しているお店が少ないこともあり、コーヒー豆の購入に足繁く通うご近所のお客さまも多いそうです。
店頭の看板やコーヒー豆のパッケージに使われている赤と黄色の三角形のマーク。鳥の横顔かと思っていたら「大山と国道246号線をモチーフに、開店当初の頃のアルバイトスタッフさんが作ってくださったロゴマークなんです」と、内藤さん。
店名のRICOとは、コーヒーの一大産地であるブラジルの公用語、ポルトガル語で「リッチ」「裕福」などの意味があり、お店での一杯のコーヒーが、「心豊かな時間になりますように」という願いを込めて付けられたのだとか。同じく南米で使われるスペイン語には、さらに「おいしい!」という意味もあり、現在のお店を体現しているかのようです。
内藤さんが代々受け継いできた大山の麓のこの場所は、江戸時代には街道沿いの茶屋が並んだ土地です。令和となった現在も同じ場所で、行き交う人々にコーヒーや軽食を提供し続けています。コーヒーには、地域の人々が気軽に集い、会話を楽しむ求心力もあるようで、それは地域の豊かさとも言えそうです。
大山をはじめ伊勢原周辺にお出かけの際には、自家焙煎の淹れたての絶品コーヒーと自家製のスイーツや軽食を味わいに、CAFE RICOにぜひお立ち寄りください。
※掲載情報は取材日時点(2026年2月)のものです。
記事のスポット情報
INFORMATION
café Fülat
長野市出身の店主が営む、長野県産食材にこだわったフードやスイーツが評判のカフェです。郷土食であるおやき、戸隠産のお米でつくるおむすび、小布施の栗をつかった絶品スイーツなど、神奈川ではなかなか味わうことができない信州ご当地の味を、店内でも、テイクアウトでも気軽に楽しむことができます。営業日は毎週金曜&土曜、日曜(不定休)です。
INFORMATION
CAFE RICO
南米やアフリカ、アジアなど世界の産地から選りすぐったコーヒー豆を自家焙煎し、丁寧にハンドドリップで提供するコーヒーの専門店。終日提供する軽食や自家製のスイーツをはじめ、ランチタイム限定の食事メニューも人気です。コーヒーは、常時14種の豆を取り揃えており、いずれもホットでもアイスでもオーダーすることができます。50g単位で購入もできるコーヒー豆は、大山や伊勢原のお土産品にもぴったりです。