秦野で見つけたパンケーキが美味しいカフェ

神奈川県秦野市にある、パンケーキが評判の「KAFE六月園」と「Breeze Cafe」をご紹介します。オーダーが入ってから丁寧に焼きあげられ、美しく盛り付けられたパンケーキが人気のお店です。弘法山や渋沢丘陵などハイキングで秦野周辺へお出かけの際には、ぜひお立ち寄りください。

洗練された空間でいただくパンケーキとパスタが人気のお店「KAFE六月園」

鶴巻温泉駅と秦野駅の間にあり、弘法山の南麓に位置する「東海大学前駅」は、東京ドーム約12個分という広大な東海大学湘南キャンパスの最寄り駅であり、学生のまちの玄関口です。

そのキャンパスへ向かうバス通り沿いの趣を感じさせるアパートの1階で営業するのが、「KAFE六月園」です。駅南口から歩いて6分ほど。入口に置かれた、手書きの看板が目印です。

もともとは2011年6月に相模大野で開店し、2020年11月まで営業されていたそうですが、コロナやライフステージの変化もあり、オーナーの上田ご夫妻の地元である秦野に移転することに。2021年5月にこの地でリニューアルオープンを果たしました。現在では、平日、週末問わず開店の11時前からお客さまが並んで待つことも多い人気のお店となっています。(現在、平日のみご予約にも対応されています。)

中央のアンティーク扉を開け、店内へ入ると、建物外観とのギャップに驚きます。ごく薄いグレー色の壁が、自然光の眩しさを和らげているようで落ち着きます。北欧でカフェを表す「KAFE」のとおり、内装やインテリアは北欧をイメージして統一し、洗練された空間が広がっています。

コーヒー豆の焙煎機が中央にあります。コーヒー党を自認するお二人は、秦野への移転を機に、コーヒー豆の自家焙煎もスタート。厳選したスペシャルティコーヒー豆のみを使用しているそうです。

店内にはテーブル席とソファー席があり、いずれも座面が少し低めで、ゆったりとした座り心地でリラックスできます。天井や壁にはダクトや配管がむき出しだったり、もともと使われていた柱やアルミのサッシも活かしていたりと、インダストリアル感とビンテージ感のバランスが秀逸です。なんだか、お洒落な友人宅にお邪魔しているような気分になってきます。

相模大野で営業されていた頃からの人気という六月園の看板メニュー、パンケーキをいただきましょう。北海道産の小麦を中心に、新鮮な卵黄と牛乳など厳選した材料で作られているそうです。冷やされた生地が、銅板でじっくりと焼きあげられてゆきます。レギュラーサイズのパンケーキで直径10センチほど。きつね色の表面と垂直に立ち上がった縁の美しさに期待も高まります。

この日オーダーしたのはロングセラーで定番人気という「クリームブリュレとナッツのパンケーキ」です。クリームブリュレとアーモンドやクルミなどのナッツ類、そして生クリームとバニラアイスクリームがトッピングされています。高さのある華やかな盛り付けに、思わず目が釘付けになってしまいます。

さっそくパンケーキにナイフを入れて、いただきましょう。ほどよく口溶けする食感が絶妙で、リッチな味わいの中にほのかな塩味を感じます。ビターな風味のキャラメリゼや旨味の濃厚なナッツなど、甘さ以外の味わいも嬉しいです。

「何種類も試して行き着いたのがこの北海道産の小麦粉です。しっとり、ふんわり焼きあがるように、材料を混ぜあわせる順番も決めています」と、妻の五月さん。数ある北海道産小麦の中でも、小麦の品種や他の材料とのバランスなど試行錯誤を経て、六月園のパンケーキが生まれたのだそう。

りんごや苺など旬の果物を使った季節限定品をはじめ、プレーンから定番品など常時7-8種ほどのパンケーキメニューが用意されています。写真のレギュラーサイズの他に、ハーフパンケーキセットも提供されています(ドリンクとセットで、通常の半分サイズのパンケーキ4枚で提供されます)。

そして、パンケーキ以上にメニューが充実しているのが、相模大野の頃から評判だったというパスタです。毎日開店から15時まで「パスタランチ」として提供しています。旧店舗では、ごはんものも含め食事メニューが充実していたのだとか。現在は、15種類前後ものパスタメニューを毎日提供しているというから驚きです。パスタランチは、自家製フォカッチャ付きの各種パスタをベースに、オプションで前菜サラダやデザートをセットでオーダーすることができます。

写真は「自家製ベーコンとほうれん草のクリームパスタ」です。豚バラ肉から仕込むという自家製のベーコンは、ほどよい塩加減で、濃厚なクリームとグラナ・パダーノのチーズがほうれん草とパスタによく合います。パスタは、クリーム系からトマト系やジェノベーゼ、魚介系から肉系までバラエティーも豊富。毎月内容が変わる「前菜」のサラダは、彩り多くポーションも多め。せっかくならパスタと一緒にオーダーすることをお薦めします。

パスタなど食事メニューの調理は、ご主人の和広さんが主に担当されていらっしゃるそうです。実は和広さんにはもう一つ、建築士というお顔もお持ちとのこと。「お店とは別で、ジユウニデザイン研究所という名前で、デザイナーとしても活動しています。六月園の内外装はもちろんですが、近隣の飲食店や医療施設、住宅のリノベーションなどを請け負っています」と、和広さん。使い込まれた建物や空間をリノベーションし、価値を高めて再生することを大切にお仕事されていらっしゃるそうです。お店の洗練された空間は、さながらジユウニデザインのショールームも兼ねているとも言えそうです。

「手前味噌ですが、和広さんの考えるメニューや盛り付けはアーティスティックで、独創的だなぁと感じています」と、五月さんが謙遜しながら教えてくださいました。たしかに、高さのあるパンケーキや華やかなパスタの盛り付けは、どことなく建築的ですらあるように感じます。

ランチのオプションや単品としてオーダーできるスイーツも常時6-8種類と充実しています。写真の「紅茶のベイクドチーズケーキ」をはじめ定番の「クリームブリュレ」や自家焙煎のコーヒーをつかった「ティラミス」なども人気とのこと。パンケーキやケーキ類の製造は、五月さんが担当されていらっしゃるそうです。

ハンドドリップで丁寧に淹れる「六月園Blend」コーヒーは、浅煎り、中煎り、深煎りと焙煎具合も選べます。香りもよく、パンケーキやスイーツと一緒にいただくのはもちろんのこと、食事の余韻といっしょに食後にいただくのも至福の一杯となりそうです。

2024年の夏から始めたという夏季限定の「かき氷」も自家焙煎コーヒーでつくったシロップ、コーヒー味が一番人気だったとか。暑い夏の秦野で味わう、六月園の涼菓も良さそうですね!

移転の理由の一つが、「地元に戻って腰を落ち着けて・・・」とのことで、ご夫婦のどちらが秦野ご出身だったのですか?と五月さんに尋ねると「実は私たち、小中学校の同級生でして」と、お二人とも秦野ご出身ということを明かしてくださいました。

開店当初から掲げる「家族に食べてもらいたい食事」というお店のコンセプトの通り、材料を厳選し、手作りの料理やお菓子を提供し続けています。秦野へお出かけの際には、息の合うお二人が地元の秦野で営む「KAFE六月園」へ、ぜひお立ち寄りください。

INFORMATION

KAFE六月園

2011年6月に相模大野で創業し、2021年5月にオーナーご夫婦の出身地秦野市へ移転オープンされたお店です。季節限定メニューも含め7種類ほどのパンケーキは、相模大野店時代からの看板メニュー。15種もあるパスタも人気です。コーヒーは自家焙煎したスペシャリティーコーヒー豆を使用するこだわりよう。「家族に食べてもらいたい食事」というコンセプトの通り、材料を厳選して手作りする料理やお菓子が評判です。


スイーツ系から食事系まで充実。18種類ものパンケーキが味わえる専門店「Breeze Cafe」

秦野駅北口から歩いて5分ほど。水無川を渡った先の飲食店街にあるのが、パンケーキ専門店「Breeze Cafe(ブリーズカフェ)」です。フルーツや生クリームを使ったスイーツ系からお肉やサラダと一緒に提供する「食事系」まで、豊富な種類のパンケーキが楽しめるお店として、地元の女性を中心に支持されています。

木の質感をいかしたナチュラルでお洒落な店内。白い壁に様々な観葉植物がハンギングされ、店名の通り、爽やかなそよ風(breeze)が吹き抜けるようです。

オーダーしたお客さまが必ず笑顔になると言われるのが、「フルーツミックスパンケーキ」です。厚みのある二段重ねのパンケーキの周りには、苺やキウイ、バナナなど(仕入れの状況により内容は変わることもあるそうです)、色とりどりのフルーツがふんだんに散りばめられており、思わず気分が上がります。味わいを生かすためにエスプーマ(食材をムース状にする調理器具)でふんわり柔らかく仕上げられたホイップクリームは、甘さ控えめです。

スイーツ系のパンケーキは定番となる10種類ほどを提供。旬のフルーツを使ったもの、桜や秋の実りの豊かさなど季節感を表現したもの、クリスマスバージョンなどの期間限定メニューも登場し、楽しみにされているお客さまも多いようです。

小麦粉、牛乳、卵、砂糖、自家製ヨーグルトの原料で作るパンケーキは、注文を受けてから専用の型(セルクル)で直径10cm、厚さ2cmに成型され、鉄板の上で6分ほどかけて焼き上げられます。しっかりとした食感ながら口当たりがやさしく、卵の風味が生きたパンケーキです。

食事系パンケーキの中でボリュームもあり人気なのが「鶏もも肉のトマト煮パンケーキ」です。パプリカ、ペコロス(小玉ねぎ)とともにトマトソースで煮込まれた鶏肉が、濃厚な風味のチェダーチーズをのせたパンケーキによく合います。たっぷりと添えられたグリーンサラダには、自家製ヨーグルトを使った酸味と甘みのバランスがよいドレッシングがかかっています。

他にも、牛肉を使った「ローストミートパンケーキ」、「エッグベネディクトパンケーキ」、イカ墨の真っ黒いソースがかかった「真夜中のパンケーキ」など食事として楽しむことができるパンケーキが8種類用意されています。

また、パンケーキ以外の食事メニューとして、「合鴨スモークライス」、「岩手豚100%粗挽きソーセージ」といった肉料理やカルボナーラなどのパスタも用意。これらの食事メニューをお召し上がりになられた後に、スイーツ系パンケーキを楽しまれるお客さまも多いのだとか。

老若男女問わず人気という「フレンチパンケーキ」(数量限定)は、しっとり柔らかい食感が特徴です。一度焼き上げたパンケーキを、一晩卵液に漬け込み、再び焼きあげているそうです。独特の「もちふわ」感があり、口に運んだとたん、スーと口溶けし、卵のリッチな風味だけが残ります。添えられたメープルシロップやシナモンパウダーをかけて「味変」して食べるのもお薦めです。軽食にもぴったりなプレーンの他に、「いちごバナナ」、「フルーツミックス(アイス付)」もあります。

「自家製ホットレモン」は足柄の農家さんから仕入れた無農薬レモンと蜂蜜を使っているそうです。レモンがしっかりと香り、さっぱりしているので、スイーツ系、食事系どちらのパンケーキにも合います。
ドリンクは他にも、コーヒー、紅茶やジュースなどのソフトドリンクをはじめ、ビールやワインなどアルコール類も提供しています。

笑顔が素敵なオーナーシェフの笠嶋さんは北海道函館のご出身。華やかな東京の生活に憧れて上京し、都内でIT関連の仕事をされていましたが、たまたま訪れた秦野の自然の豊かさ、歴史ある建物が残る街並みに魅了され、移住を決意。2013年に秦野に居を移し、翌年、長年の夢だったカフェをオープンされました。

パンケーキ店開業を目指すきっかけとなったのは、カフェ営業の参考のために食べ歩きをしていた時に出会った、食事系パンケーキの美味しさでした。

「スイーツのイメージが強いパンケーキですが、その時食べた食事系パンケーキの見た目の華やかと風味の豊かさに驚きました。お腹が満たされ、とても幸せな気持ちになりました」と、笠嶋さん。そして、「この豊かな気分を多くの人にも感じてほしい!」と思ったことが、パンケーキ専門店開業へつながったそうです。

独学でパンケーキ作りを習得し、お店をオープンして11年。秦野に根付き、人気のパンケーキ店となった「Breeze Cafe」ですが、最近では「スイーツ男子」や、登山やハイキング帰りの「山ガール」の方々、さらにはサイクリング中に糖分補給で立ち寄るサイクリストなど、遠方から来店されるお客さまも増えているそうです。

オープン当初から「眺めて幸せ、食べたらもっと幸せ!」をテーマに、メニューを作り、お店を営んできたという笠嶋さん。今後は、秦野の特産品を取り入れたスイーツ系パンケーキやジビエ肉を使った食事系パンケーキのメニュー開発にもチャレンジしたいと言います。

秦野エリア散策の折には、華やかで美味しいパンケーキを食べに、「Breeze Cafe」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


※掲載情報は取材日時点(2025年2月)のものです。

INFORMATION

Breeze Cafe

フルーツたっぷりのスイーツ系から料理として楽しめる食事系まで18種類のパンケーキを終日提供する専門店です。パンケーキ以外の食事メニューやサイドメニューも充実しており、おやつや軽食としてだけでなく、しっかりとした食事も楽しむことができます。ソフトドリンクだけでなくビールやワインもあり、ハイキングで汗を流した後の利用にもぴったりです。