酪農が盛んな伊勢原で味わう牧場グルメ

神奈川県内でもっとも酪農が盛んなエリア、伊勢原市。自社牧場産のしぼりたての新鮮な牛乳をつかったスイーツが人気のお店を紹介します。伊勢原駅が最寄りの「石田牧場のジェラート屋 めぐり」と愛甲石田駅が最寄りの「柏木牧場」です。どちらも原材料から製品づくりまで手掛ける牧場直営のお店です。
新鮮なミルクと地元の農産物でつくるジェラートで思わず笑顔がこぼれる「石田牧場のジェラート屋 めぐり」

神奈川県のほぼ中央に位置し、北に大山を望み、東部に平野が広がる自然豊かな伊勢原市は古くから農作物の栽培と酪農が盛んな地域です。この伊勢原で3代続く石田牧場の直営ジェラート店が「石田牧場のジェラート屋 めぐり」です。牧場の新鮮な牛乳と地元の厳選野菜や果物を使ってつくられるジェラートは牛乳本来のコクや甘みとともに旬の恵みを楽しめると評判のお店です。


ベージュの壁と茶系のインテリアが落ち着いた雰囲気の店内。ショーケースでジェラートを選んでテイクアウトするスタイルですが、木製のベンチが置かれたイートインコーナーでいただくこともできます。

イタリア発祥で「凍ったお菓子」という意味のジェラートは、アイスクリームに比べて乳脂肪分が少ないのが特徴で、その軽い味わいをいかして果物やチョコレートなど、様々なフレーバーの素材と合わせるのが一般的です。「めぐり」では、伊勢原産の新鮮な農産物を主に利用し、ジェラートに加工しています。使われるのはいちご、ぶどう、メロン、スイカなどの果物、トマトやさつまいもなどの野菜、さらには緑茶まで、バラエティに富んでいます。
お店のショーケースには通年販売のジェラートが6種類、季節ごとの旬の素材を使った期間限定ジェラートが10種類ほど並びます。


カップとコーンのどちらかを選ぶことができ、サイズもミニ、シングル、ダブル、トリプルとあるので、お好みの組み合わせを楽しめます。(ミニはカップのみ)
中でも「石田ミルク」は石田牧場の牛乳の甘さとコクが味わえる看板メニューです。後味がさっぱりしているので、濃厚なイタリア製「チョコレート」とのマッチングも抜群。(写真左)
期間限定の「マンダリンオレンジ&ミルク」は、まろやかな「石田ミルク」にマンダリンオレンジソースがたっぷりトッピングされ、爽やかな味わいです。濃厚な「マンゴー」と盛り合わせにすると、口いっぱいにトロピカルな風味が広がり、すっかり夏の気分に♪


ちょっと珍しい期間限定のジェラートが「ルビーチョコフラワー」(写真左)。ピンク色のルビーカカオ・チョコレートにラズベリーを合わせ、伊勢原の加藤花園さんのエディブルフラワー(食用花)をあしらったもので、上品な甘み、酸味とともに見た目も美しい一品です。その他、「みたらし団子」、神奈川県産の大豆を使った「津久井のきなこ」など和菓子風味のユニークなジェラートも揃っています。
お店では、冷凍カップのジェラート(ドライアイス別売)も販売されていますので、自宅用に、あるいはお土産として持ち帰ることができます。

常時16種類ほど揃うジェラートの味わいや特徴については、スタッフさんにおたずねください。季節ごとのお薦めジェラートやダブル、トリプルといった合わせ盛りの「相性」もアドバイスしていただけます。


ジェラートの原料となる生乳は、もちろん自社牧場産です。乳牛の飼育にあたっては清潔な環境に徹底的にこだわり、酪農分野で神奈川県第一号の「農場HACCP(ハサップ)認証牧場」になるなど、牛の健康管理や衛生面だけでなく、環境にも配慮して安心安全な牛乳を生産されています。
また、牛が食べるエサは輸入穀物の量を極力減らし、伊勢原の大地で育てた牧草やトウモロコシを与え、搾りたての生乳は「低温保持殺菌法」(65℃で30分の低温殺菌)で丁寧に加熱処理することにより、生乳の風味とコクが残る美味しい牛乳に仕上げているそうです。
1971年創業の石田牧場の3代目となるオーナーの石田陽一さんが、直営のジェラート店を開業するきっかけとなったのは、先代の頃から永く培われてきた地元農家さんとの信頼関係でした。1年を通して新鮮で高品質な野菜や果物が採れる伊勢原。石田さんは、その地元の農産物をもっと身近なものに感じてほしいという想いから、志を持って頑張る若手農家さんと連携し、ジェラートに加工し、販売することを決断されたそうです。
2011年に「石田牧場のジェラート屋 めぐり」がオープンすると、牛乳本来の味わいに旬の美味しさがギュッと詰まったジェラートということでたちまち評判になり、遠方からもお客さまがいらっしゃる人気店となりました。
お店のコンセプトは「笑顔のめぐり」。つくり手(石田牧場、提携先の農家さん)の笑顔が、ジェラートを召しあがるお客さまの笑顔につながり、循環していく、そんなお店を目指しているそうです。
伊勢原にお出かけの際には、大地の恵みでつくられた、味わい深いジェラートをぜひご賞味ください。
※掲載情報は取材日時点(2025年4月)のものです。
INFORMATION
石田牧場のジェラート屋 めぐり
牧場直営ならではの新鮮なミルクと地元産の旬の果物や野菜を使った贅沢なジェラートが評判のお店。季節ごとの限定メニューを含め16種ほどのジェラートがラインアップされ、サイズもミニ、シングル、ダブル、トリプルと揃っています。店内のイートインコーナーでいただくことができます。また、カップ入りの持ち帰り用(冷凍)の販売もあります。
自慢のミルクを使った至福のスイーツから精肉・お総菜まで!牧場グルメが勢揃いの「柏木牧場」


どこかのんびりとしたムードが漂う愛甲石田駅からバスで15分ほど。「歌川産業スクエア」バス停で降りて、交通量の多いロードサイドを少し離れると、周囲には驚くほどの静けさが広がります。地図を頼りに歩くこと約6分、目の前に現れたのは黄色い看板。そのまま敷地内へ進むと、右手にレンガ造の建物が見えてきました。1964年創業の「柏木牧場」です。
乳牛7頭規模の酪農からスタートした柏木牧場。「高価な牛肉を、もっと身近に、手頃な価格で味わってほしい」との思いから、1974年には牛肉の飼育・販売にも着手しました。そして、新鮮で安全な製品を良心的な価格でお客さまに届けるべく、1986年、牧場の敷地内に直売所をオープン。以来、牧場とお客さまをつなぐ場所として親しまれています。
神奈川県内でも有数の酪農地帯として知られる伊勢原市は、搾りたての牛乳を使った多くの絶品スイーツが親しまれています。そのなかで、舌の肥えたリピーターたちから厚い支持を集めているのが、1998年に販売が始まった名物のソフトクリームです。

このソフトクリームは、直売所に隣接する柏木牧場の牛舎でのびのびと育った乳牛から搾った新鮮な生乳を100%使用。牛乳本来のやさしい甘みと、ほんのり感じるコクが絶妙なバランスで調和し、ひとくち食べれば、濃厚なミルクの風味が口いっぱいに広がります。それでいて後味はすっきり。老若男女問わず人気の一品です。
いちばん人気のフレッシュミルクをはじめ、ビターショコラや甘口バニラといった定番フレーバーに加えて、旬のフルーツを使った季節限定の味もラインナップ。どれも魅力的で、思わず迷ってしまいそうです。
牧場をのぞいてみると(通常は見学できません)、22頭の乳牛と15頭の肉牛が気ままな時間を過ごしていました。その一頭一頭から届けられる良質なミルクが、この豊かな味わいを支えているのだと実感しました。


思わず「おかわり!」と言いたくなるおいしさですが、魅力的なスイーツはこれだけではありません。店内にもバラエティ豊かなスイーツが並んでいます。


店内に入ってまず手に取ったのは「牧場プリン」。柏木牧場の新鮮なミルクに加え、大山のふもとで元気に育った鶏が産んだ「さかもとのたまご」をたっぷりと使用し、素材の風味を最大限に引き出すよう丁寧に作られています。
スプーンを入れると、しっかりとした弾力が手に伝わり、口に運べば濃厚でまろやかな風味がふわっと広がります。ミルクと卵の甘さがうまく溶け合ったこのプリンは、地元の恵みが凝縮された、伊勢原ならではのスイーツといえるでしょう。
そして、ファンが多いことで知られる「のむヨーグルト」は、プレーンとゆずの2種類のフレーバーを展開。まろやかな口当たりとさわやかな酸味のハーモニーに魅せられて、「あっという間に飲み干してしまう」と評判です。

気軽に試せる150mlのほか、たっぷり楽しめる500ml、900mlを取り揃えていて、シーンに合わせて選べるのもうれしいポイントです。
そのほかにも、自家製アイスクリームやヨーグルト、スフレタイプのチーズケーキなど、魅惑のスイーツが多数揃っています。スイーツコーナーを見て回ったあとには、精肉コーナーで今夜のおかずを選ぶのはいかがでしょうか。


牧場直営なので、味と鮮度は折り紙付き。焼肉用やカレー・シチュー用など、さまざまな料理に使える良質なお肉が揃います。
なかでも圧倒的な人気を誇るのが、柏木牧場オリジナルのハンバーグ。訪れる人のほとんどが手に取るという名物商品で、週末には1日に400〜500枚売れることもあるというから驚きです。

調理方法はとてもシンプル。油を引かずに弱火でじっくり両面を焼くだけで、肉の旨味たっぷりの、ジューシーなハンバーグの出来上がりです。
もっと手軽にプロの味を堪能したいなら、メンチカツを選ぶのもおすすめです。売店で販売している揚げたてサクサクのメンチカツも、テイクアウトメニューとして根強い人気を誇るのだとか。


大きめにカットされたタマネギの甘みと食感を、ジューシーなひき肉がしっかりと受け止め、サクサクの衣に包まれたメンチカツは満足感たっぷり。秘伝の味付けを施しているから、ソースをかけずにそのまま食べても十分おいしくいただけます。
手頃な価格のスイーツやお肉、お惣菜がたくさん揃う柏木牧場。「お客さまに共感していただける商品を届けたい」との思いを抱く二代目社長の柏木さんは、牧場経営に加え、いせはら芸術花火大会実行委員長、いせはらフィルムコミッションの代表など、地域の顔としても多方面で活躍されています。

「伊勢原に牧場を構えてから、もうすぐ50年。当時と比べると町の風景も少しずつ変わりましたが、この土地の素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらいたくて、できる範囲で伊勢原を盛り上げる活動を続けていきたいと思っています」
そんな柏木さんの真摯な姿勢こそが、地元で長く愛される商品づくりの原動力になっているのでしょう。
おいしさの裏にあるストーリーを感じながら、今日はちょっと足を伸ばして柏木牧場へ。ここでしか出会えない〝とっておき〟が、きっと待っています。
※掲載情報は取材日時点(2025年4月)のものです。
INFORMATION
柏木牧場
「柏木牧場」は、良質な飼料や水、徹底した衛生管理のもと、乳牛と肉牛を育てている牧場。新鮮な牛肉の直売をはじめ、ハム・ソーセージなどを製造販売しており、飲むヨーグルトなどの各種乳製品も購入できます。売店で人気なのがソフトクリーム。新鮮な生乳を使っており、夏はさっぱり、冬はコクのある味わいに仕上げています。季節限定のフルーツを使ったソフトクリームは旬の味を堪能できます。