洗練された空間と旬のメニューが魅力 秦野の人気カフェ

神奈川県秦野市にある美味しい料理とリラックスできるおしゃれな空間が評判のカフェをご紹介します。秦野駅からアクセスする「森のカフェ」と東海大学前駅からアクセスする「ginger&pickles(ジンジャーとピクルズや)」です。どちらも駅から少し離れた場所ながら、居心地のよい空間でランチやティータイムをゆっくり過ごすことが出来る人気店です。

色彩豊かなプレートランチが人気 奥津国道美術館併設の「森のカフェ」

秦野駅北口からバスで約6分「宮上」バス停で下車し、バス通りから「葛葉(くずは)緑地」方面へ入ります。緑地の縁となる突き当りを右折してすぐの場所にあるのが「奥津国道美術館」です。サインにある通り、敷地内には美術館があり、美術館に併設されたお店が「森のカフェ」。店名の通り、隣接する葛葉緑地の豊かな自然の気配を感じるロケーションです。

建物へのアプローチを兼ねた前庭の芝も美しく、冬にはクリスマスツリーに姿をかえるという大きなモミの木が中央に植えられています。

建物正面に「森のカフェ」の入口があります。美術館への入場も、先にカフェで入場料金を支払い、建物の左側にあるエントランスから入るそうです。ちなみにカフェだけのご利用も大歓迎とのこと。

「奥津国道美術館」では、地元出身の画家 奥津国道氏の多くの作品が常設展示されています。秦野市で看板屋を営んでいた父と、刺繍を生業としていた母との間に生まれ、小中学校時代には早くも絵の才能を見出されていたそう。平凡出版社(現マガジンハウス)のアートディレクターとして、アンアンなどの雑誌の表紙向けに女性画を多数描き、後年は欧州や地元の風景画の作品も多く残しています。油絵はもちろんのこと、グラフィックデザインのようなポップな印象を与える水彩画の作風も素敵です。

美術館内には3つの展示室があり、展示室ごとに異なるテーマの作品を鑑賞することができます。月に1度ミュージアムコンサートと題した音楽のライブイベントも開催されているそうです。

「森のカフェ」は、美術館の開館と同じ2018年4月末に開店。現在は、作品鑑賞後の食事や喫茶の場として利用されるだけでなく、カフェを目当てに来店される方も多いそう。

開店時からの看板メニューとして人気なのが、色彩豊かなプレートランチ。大きなお皿はまるで画家のパレットのように色とりどりで華やかです。

写真の「豆腐野菜ハンバーグ」のプレートは特に女性に人気の一品。他にも「やまと豚のみそ焼き」や「チキンの香草焼き」など全部で5種類のメニューがあり、その日の気分で選ぶことができます。スープ付きで、セット(追加料金)にしてコーヒーなどのドリンクを付けることも。

ご覧のとおりプレートにはたくさんの種類の副菜が並びます。この日は、蓮根のはさみ揚げ、ミニグラタン、キッシュ、かぼちゃの煮物、白ゴマあえ、サラダ、ピクルスなどが盛り付けられ、お野菜もたっぷり。十五穀米もついてボリュームも充分。副菜の多くは季節ごとに変わるそうですが、旬の食材をじっくりと味わえるプレートになっています。

前庭に設えられたテラス席には贅沢な空間が広がっています。美しいガーデンの雰囲気に葛葉緑地の渓谷から吹くそよ風と野鳥のさえずりに、日頃の忙しさを忘れてしまうようです。特に涼しい季節には、テラス席のリラックスした雰囲気が人気とのこと。

毎日店内で焼き上げる自家製のシフォンケーキはふんわりとした柔らかい食感が素晴らしく、生クリームと季節の果物を使ったソースによく合います。レモンやチョコが入った季節限定のシフォンケーキもあるそう。オーガニックコーヒー豆で淹れたコーヒーも美味です。

大きな窓から差し込む自然光と庭園の景色を楽しむことができる店内も素敵です。白壁には美術館同様に絵画が飾られ、窓の外に視線を向ければ、木々に止まり羽を休める野鳥の様子を見ることが出来るかもしれません。

平日は近隣の女性のお客様が多く、週末はご家族連れで遠方からのお客様も多いとのこと。ランチ提供開始の11時来店のみ、席の予約を受けてくださるそうです(他の時間帯の来店予約は受け付けされていません)。週末で予約をされない場合は、時間に余裕をもって来店されることをお薦めします。

奥津国道美術館・森のカフェの北側には、丹沢に源流をもつ葛葉川が流れる葛葉緑地が広がっています。住宅地の中にありながら、川の流れにより長い時間をかけて削られた峡谷があり、谷を流れる川を中心とした緑地では、現在も虫や鳥、植物などの自然を観察することができます。

緑地は「秦野ガス・ネイチャーパークくずは(くずはの広場)・くずは台南公園」として整備され、入口付近には自然観察やボランティア活動の拠点となる「くずはの家」があります。葛葉川まで降りると、丹沢から流れてくる水の冷たさに触れることもできます。

奥津国道美術館の鑑賞と「森のカフェ」での食事やティータイムの前後に、自然豊かな緑地の散策や自然観察に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

※掲載情報は取材日時点(2024年7月)のものです。

INFORMATION

森のカフェ

自然豊かな葛葉緑地に隣接する奥津国道美術館内にあるカフェ。美しいガーデンを望む店内席、テラス席ともにリラックスした空間で食事や会話を楽しむことができます。旬の食材を使った色彩豊かなプレートランチが人気。シフォンケーキやワッフルなど自家製スイーツも評判のお店です。


北欧香る空間でいただくオーガニックな料理とお菓子が評判「ginger&pickles(ジンジャーとピクルズや)」

東海大学前駅南口からバスで6分ほど。東海大学北門近くにある「ginger&pickles(ジンジャーとピクルズや)」は、有機野菜を中心にした植物性素材のメニューを北欧のインテリア空間で楽しめるカフェです。
通りに面した店舗は、白壁に濃紺の鉄骨、大きなガラス窓が明るくモダンな印象です。

店の名前はピーターラビットの「ジンジャーとピクルズやのおはなし」という絵本のタイトルから。猫のジンジャーと犬のピクルズが営む雑貨屋のお話だそうです。
  
店内に入ると、日が差し込むガラス窓に沿って二人掛けのテーブルが2つ。まず、左奥のレジカウンターで注文と会計を済ませます。
店の奥へ進むと、オフホワイトを基調とした広いフロアに二人掛けテーブルが5つ、ゆったりと配置されています。家具はフィンランドのデザイナー、アアルトのものが中心。北欧では公共施設で使われることも多いそうで、主張しすぎずシンプルな美しさの椅子やテーブルは、「さまざまな人が利用するカフェの空間に最適だと思います」と店主の小林さん。
ぬくもりを感じさせる照明もデンマークやフィンランドのもので、明るすぎない必要十分な「優しいあかり」が心落ち着く空間を演出しています。

メニューはビーガン対応で、肉や魚を使わない植物性(プラントベース)が中心。なるべく農薬・化学肥料・添加物不使用の食材、旬の野菜を使用しているそうです。

開店当初から変わらぬ人気の「ベジドライカレー」は、大豆ミートと野菜を煮込んだトマトとココナッツミルクベースのカレー。優しい口当たりながら、深く複雑な味わいの秘密はスパイスで、昔からのお付き合いという鎌倉の老舗スパイスメーカー「アナン」のスパイスを使用しているそう。ほどよい酸味の自家製ピクルスとの相性も抜群です。

「ベジツナサンドイッチ」は大豆ミートと豆乳マヨネーズを使い、ツナマヨ風に仕上げたもの。あっさりとしていながら旨味があり、フレッシュリーフと人参ラペに挟まれて食べ応えがあります。

「キャロットケーキ」は人参とスパイスたっぷりのしっかりした生地にくるみとレーズンが合わせてあり、人参の甘みを引き立てるスパイスの使い方が絶妙。ビーガンレモンクリームのトッピングも爽やかです。

コーヒーは大磯「ビーンズマートオイコス」のスペシャルティコーヒー豆を使用。北欧風の浅煎りではなく、誰にでも飲みやすいバランスの良いものを選んでいるそうです。ハンドドリップの他、ラテ、カプチーノがあり、ソイミルク対応もしていただけます。
ケーキ皿やカップにはアラビア、ロイヤルコペンハーゲンなど、北欧ブランドのものがさりげなく使われています。

「エルダーフラワー・コーディアル」はヨーロッパの初夏の定番ドリンク。カフェの庭で採れたエルダーフラワーをレモンとシロップに漬け、炭酸水で割ったもので、ハーブの香りと甘み、酸味が爽やかです。

レジカウンター横には自家製のマフィンやクッキーなどの焼菓子がずらり。イートインで楽しまれる方はもちろん、お土産用にテイクアウトされるお客様も多いそうです。

店主の小林麻衣さんが「ginger&pickles」をオープンしたのが2010年。勤めていた東京のオーガニックカフェを辞め、ご家族が経営する東海大学前駅近くの学習塾1階スペースを改装し、カフェをスタートしました。
コーヒーが大好きな小林さんは、カフェオープン後も北欧やドイツ、オーストラリアを何度も訪問し、生活者の視点で各地の食に向き合い、カフェ文化を体感。
スウェーデンでは有機栽培農家の人たちと寝食を共にし、働き、交流するプログラムに参加することで、「すでにある生活の中に、豊かさや幸せを感じることの大切さ」を学んだそうです。

2023年4月、お店は東海大学北門近くの現在の場所に移転。以前からのお客様に加え、大学で学ぶ北欧学科の学生や海外からの留学生も大勢来店し、ベジタリアンのメニューオプションが多いこともあって、たちまち人気店になりました。

赤ちゃん連れからおじいさん、おばあさん、そして学生まで幅広い客層の「ginger&pickles」。
「北欧では日に2回Fika(フィーカ)というコーヒーブレイクを楽しむ習慣があり、生活の一部となっています。一杯のコーヒーでリフレッシュしたり、ホッとできる。そんな空間でありたいと思っています」と小林さん。
自然豊かな秦野の町。丹沢散策などの際に立ち寄り、北欧風の「Fika」を楽しんでみてはいかがでしょう。

※掲載情報は取材日時点(2024年7月)のものです。

INFORMATION

ginger&pickles(ジンジャーとピクルズや)

北欧インテリアに囲まれたゆったりした空間で、ベジドライカレーなど有機野菜や植物性食材を使ったカフェメニューを楽しめます。マフィンなどの焼菓子、ドリンク類も充実。ほとんどのメニューがテイクアウトできます。