秦野の名水を味わえるスポット8選

名水百選に選ばれた秦野の豊かな水を楽しむ

新宿から小田急線で約1時間、丹沢の山並みが美しい秦野市は、神奈川県唯一の盆地です。その地下構造は、丹沢の山々などに染み込んだ地下水を貯める天然の水がめになっており、7億5千万トンもの地下水を蓄えているそうです。長い時間をかけて染み込んだ地下水は、ミネラルと硬度のバランスが絶妙。まろやかな味わいのこの水は、環境省指定の「名水百選」に選定されており、市内の至る所に湧き出ています。

街中には、そんな湧水を誰でも汲むことの出来るスポットが数多く点在し、名水を使用した逸品を味わえるお店も数多くあります。今回は、秦野名水を味わい楽しめる、湧水スポットと名水を使用した名店をご紹介します。

【秦野名水が汲める 湧水スポット3選】

秦野の街を歩いていると、ふとしたところで人々がこぞって水を汲んでいる、そんな場面に出会うことがあります。湧水の溢れる水汲み場ではいくつものボトルを持って、近郊から訪れる人も珍しくありません。

水の湧く場所によって水源が異なり、硬度やミネラル含有率に違いがあるそうで、さまざまな場所で水を汲んで飲み比べる人もいるそうです。
飲み水としていただくのはもちろん、コーヒーを淹れたり、料理に使用するのもおすすめです。そんな秦野の名水が汲める「湧水スポット」をご紹介します。

1.【弘法の清水(こうぼうのしみず)】弘法大師にまつわる伝説をもつ湧き水

秦野駅から徒歩約5分、住宅街にある「弘法の清水」は、弘法大師が杖を地面に突き、そこから水が湧き出したという伝説のある井戸。駅から近いので、気軽に訪れることができる場所です。(硬度:120 中程度の軟水)

INFORMATION

弘法の清水
住所:〒257-0034 神奈川県秦野市大秦町1-31

2.【ゆずりの水】出雲大社相模分祠の敷地内にある神聖な湧き水

出雲大社相模分祠の敷地内にある「ゆずりの水」は、杜の守り神として祀られている「龍蛇神」の祠の前にある湧水です。地下51メートルから湧き出た清水が水汲み場の先でせせらぎになっていて、夏場には蛍が舞う自然豊かな小道となっています。参拝の帰りに立ち寄るのもおすすめ。(硬度:126 硬水)

INFORMATION

出雲大社相模分祠
住所:〒257-0015 神奈川県秦野市平沢1221
参拝時間:8:40〜17:00(祈祷受付は16:30まで)

3.【護摩屋敷の水】神奈川県内外から多くの方が訪れる山麓の湧き水

塔ノ岳や大山登山の登山口として知られるヤビツ峠にある湧水スポット「護摩屋敷の水」。水汲み場のすぐ近くまで車で行けることもあり、神奈川県内外から多くの方が訪れます。「護摩屋敷」とは山伏が修業をする場所のことで、その昔、修行に訪れた僧たちがここで身を清めたという言い伝えから名づけられたと言われています。(硬度:32 軟水)

INFORMATION

護摩屋敷の水
住所:〒257-0023 神奈川県秦野市寺山1692

【秦野の名水を味わう名店5選】

秦野には、名水にこだわって店を移転させたり、湧水のそばに店を構えたり、敷地内に井戸を掘ったり、と名水に魅せられた職人たちが腕を振るうお店が多数あります。中でも今回は、水の味がダイレクトに影響する日本酒、蕎麦、豆腐を味わえるお店をご紹介。どのお店でも、シンプルだからこそ味わい深い逸品が堪能できます。

1.【金井酒造店】秦野唯一の歴史ある日本酒蔵

秦野唯一の日本酒蔵。蔵に一歩足を踏み入れるとフワリと醪(もろみ)の香りに包まれます。創業1868年(明治元年)、現在六代目という歴史のある酒蔵。越後杜氏の流れを汲んだ人による醸造技術と、地下100メートルから汲み上げた丹沢の地下水を利用した、麹室付きの酒蔵です。
秦野ならではの商品作りに力を入れており、丹沢の恵みからインスパイアされた日本酒「ヤマザケ」は可愛らしいパッケージ。地場産の梅を日本酒に漬け込んだ「ウメザケ」も人気です。創業以来守り続けられた伝統の銘酒「白笹鼓(しらささつづみ)」は贈答品としても喜ばれます。

INFORMATION

金井酒造店
住所:〒259-1304 神奈川県秦野市堀山下182-1

2.【手打ちそば 石庄庵】丹沢の名水を使用したこだわりの蕎麦を味わう

江戸時代末期から葉タバコの栽培が盛んだった秦野。その葉タバコの裏作として栽培されていた蕎麦と落花生は秦野の名産品として知られています。とりわけ蕎麦は丹沢山麓の大地が育むスローフードの代表格。地場産の材料を使うことにこだわった名店が数多くあります。

まずご紹介するのは「手打ちそば 石庄庵」。のどかな里山の風景の中、山道を行くとそこは別天地。敷地は美しく手入れされ、思わず深呼吸したくなる、そんなお蕎麦屋さんです。

こだわりは、自家栽培及び契約栽培で確保した国内産玄蕎麦を、石臼挽き製粉に仕上げて打たれた蕎麦。使われるのは、敷地内地下55mまで掘られた井戸から汲み上げられた丹沢の名水です。

その日の朝に打つ、細身ながら腰のある蕎麦は喉越しも良く、ツーンとくる本わさびと蕎麦の風味に負けない濃い目の出汁が絶品。季節ごとに変わるメニューも見逃せません。

敷地内や近隣には、店主が仲間とともに植樹してきた約140本の「春めき桜」も。四季折々の里山の風景や空気を感じられる空間でいただくお蕎麦は格別です。

INFORMATION

手打ちそば 石庄庵
住所:〒257−0023 神奈川県秦野市寺山1580
定休日:月曜(祝日の場合翌日)
営業時間:11:30~15:30、17:00~20:00(L.O.19:00)

3.【手打ちそば さか間】名水を使用した絶品蕎麦と酒の肴を味わう名店

丹沢の山々の登山口、大倉、県立秦野戸川公園の目の前。元はタバコ蔵だった三角屋根の立派な作りの古民家で、水の良さからこの地に店を構えたそうです。

季節によって全国から取り寄せた在来の蕎麦を、店内の石臼で低速で製粉。「丸抜き」と「玄挽き」と挽き方を変えた合い盛りが味わえます。隣接する松田町の貴重な地酒中澤酒造の「松みどり」を取り揃え、板前修行の経験のある店主の作る酒の肴も絶品。目にも楽しい「鴨くわ焼き」やフワフワとした「蕎麦がき」の他、甘味も充実していて何をいただこうか迷います。登山後にお酒をいただきながらくつろぐ登山客の姿も多くみられる人気のお店です。

INFORMATION

手打そば さか間
住所:〒259-1304 神奈川県秦野市堀山下1291 県立秦野戸川公園前

定休日:毎週木曜・第三水曜 祝日の場合は営業

営業時間:11:00~14:00、17:00~20:00

4.【杜のとうふ工房 三河屋】敷地内の湧水で作られた豆腐やスイーツをおみやげに

豆腐の成分の約90パーセントはお水で出来ており、まさに水の味がそのまま豆腐の味の決め手になります。お店の敷地内に湧く秦野の湧水に惚れ込み、この地に店を構えたのが「三河屋」です。

敷地内の湧水「兵庫の泉」は1日あたり1千5百トンもの湧水量。この水を使って、昔ながらの製法にこだわって造られた豆腐の口当たりはまろやか。ここに来たなら、ぜひ、その日の朝に造られた「朝一番生とうふ」を味わってください。

明るい店内には数多くの商品が並んでいます。濃厚な国産豆乳や大豆の旨味を最大限に引き出した湯葉、一つ一つ丁寧に揚げられた揚げ物。中でも、大きな油揚は絶品です。自社開発されたお豆腐・豆乳スイーツや近隣農家の新鮮地場野菜も購入できます。

店先で豆乳バームクーヘンがのった豆腐ジェラートをいただいて、湧水を汲んで帰る。とことん名水を楽しめるスポットです。

INFORMATION

杜の豆腐工房 三河屋
住所:〒257-0015 神奈川県秦野市平沢1083-1

5.【山守茶屋 杜のとうふ工房 三河屋】美味しくて身体に良いメニューが揃うカフェ

戸川公園の目の前に位置する「杜のとうふ工房三河屋」直営のカフェ。お豆腐屋さんのカフェだけあって、美味しくて身体に良い嬉しいメニューが揃います。

オリジナルドリンク「お豆冨タホ」はぜひ味わいたい逸品。タホとはフィリピンのローカルの間では定番の朝食メニューとして親しまれている、お豆腐とタピオカを使ったスイーツのこと。日本ではなかなか出会えない豆腐スイーツをぜひ味わってみてください。

他にも豆腐ジェラート、ドーナッツ、豆乳ばあむなど種類が豊富。丹沢の山々を眺めながらいただけるテラス席がおすすめです。

昔ながらの製法で造られたこだわり豆腐はもちろん、お土産としても喜ばれる豆腐スイーツや豆菓子もずらり。ぜひ立ち寄ってみてください。

INFORMATION

山守茶屋
住所:〒259-1304 神奈川県秦野市堀山下1291-5