厚木で楽しむ釣り堀体験と大山を望む七沢森林公園ハイキング

あつぎ温泉郷として古くから良泉が点在する厚木市七沢は、大山の東陵に位置する自然豊かなエリアです。今回は七沢川の清流に隣接した「川魚料理ますや」での釣り堀体験と、神奈川県下有数の敷地を誇る園内でトレッキングやピクニックを楽しむことができる「県立七沢森林公園」を巡る散策コースをご紹介します。


七沢で楽しむ釣り堀体験と新鮮ニジマス・イワナの炭火焼き「川魚料理ますや」

あつぎ温泉郷のひとつ「広沢寺温泉」近くにあるのが、ニジマスやイワナの釣り堀と料理を楽しむことができる「川魚料理 ますや」です。七沢川が流れる谷戸に位置し、夏でも風が吹き抜ける気持ちの良い場所にあります。川を渡ると広沢寺と広沢寺温泉があります。

大山や日向山などに登るハイカー向けの「広沢寺前駐車場」からすぐ、愛宕社(愛宕大権現)の反対側、七沢川側に看板があり、迷うことはありません。最寄りのバス停は「広沢寺温泉」ですが、本数が限られているため、「広沢寺温泉入口」バス停を利用される方が多いとか。「広沢寺温泉入口」バス停から、歩いて約19分です。のどかな里山の風景を見ながら歩けば、あっという間に到着します。

「川魚料理 ますや」の祖業は川魚の卸売り販売で、1960年から厚木市をはじめとする近隣地域の料亭などに新鮮な川魚を提供してきましたが、25年ほど前から自然豊かな七沢の地で川魚の美味しさを味わえる場所を作りたいと、釣り堀体験と料理の提供を始めたそうです。現在は通年営業で、毎週土日祝日のみ開店しています。

敷地内の池には元気のよいニジマスやイワナがたくさん泳いでいます。釣り竿は1本100円でレンタルができ、気軽に楽しむことが出来ます。池はさほど大きくないため、一度に楽しむことが出来るのは数組程度とのこと。混んでいる場合は少しお待ちいただくこともあるそうです。

釣り上げた新鮮な魚は、持ち帰ることはもちろん、調理してもらいその場で食べることも。川のせせらぎと鳥や虫の音が響く谷戸で、お子さま連れのご家族をはじめ、カップルやご友人連れの方々が糸を垂らして、釣りを楽しんでいます。

敷地内には屋根付きのテラス席が用意され、快晴の日はもちろんのこと、小雨程度なら食事を楽しむことができます。

釣りや食事を目的に都内や横浜エリアから訪れるお客様も多いようですが、大山から下山し、空腹を満たすため、また喉を潤しに立ち寄られる登山客もいらっしゃるとか。七沢川の流れや周りの景色を見ながらいただく食事は、非日常感があり、特別な時間となりそうです。

名物料理のニジマスとイワナの塩焼き。釣り堀体験をせず食事だけの利用もできます。注文後に目の前の池から生きた魚を獲り、下処理をして焼き始めます。皮にびっしりと粗塩を付け、じっくりと炭火で焼き上げます。

「塩を落としながらお召し上がりください」と、主に焼き場を担当される佐藤さん。湯気が立つほどの焼き立てを熱々でいただきましょう。

ニジマスのほうが、やや大きめ。イワナは少し小さいそう(写真左 手前がニジマス、奥がイワナ)。ニジマスはふっくらと柔らかい身でクセの無い味で食べやすく、イワナは川魚の旨味が感じられ身も引きしまった食感。串のままかぶりついてもよし、お箸でほぐしていただくのもよし。食べ比べもおすすめです。

「唐揚げは頭から尾まで全て食べられますよ」と、竹の器で運ばれてきたのは、ニジマスの唐揚げ。黄金色の身がなんとも美味しそう。熱々の衣に包まれたニジマスの身は、充分に食べ応えがあります。さっぱりしたポン酢で、身と一緒に骨も余すことなくいただきましょう。

鴨の七輪焼きも人気メニューのひとつ。こちらはセルフで焼き上げていただきます。他にも、七沢サーモンの塩昆布漬け、ゆで落花生などのおつまみ的メニューも。食事としては山菜やたぬきのお蕎麦、うどんもあり、しっかりとお腹を満たすことができます。

登山などのレジャー後に立ち寄られる方の多くは、美味しい料理と一緒にビールやお酒を楽しまれる方も多いそう。熱々の塩焼きや唐揚げに冷たいビール、登山後には格別でしょうね。

ビールをはじめとするお酒類やソフトドリンクも良心的な価格で提供されており、バーベキュー気分で昼飲みを楽しむお客様も多いそうです。材料も道具も持たず、準備も後片付けも不要と考えると、とても使い勝手のよいお店です。リピートされるお客さまも多いというのも頷けます。

暑い夏には、足を入れて涼を取ることができる七沢川がすぐ横を流れています。水面を眺めながら、普段とは違う会話も弾みそうです。

釣り堀での釣り体験や新鮮なニジマスやイワナの料理を楽しむことができる「川魚料理 ますや」。自然豊かなロケーションもご馳走ですね。春から秋のレジャーシーズンはもちろんのこと、快晴の冬空のもとでいただく、熱々の川魚料理とお酒も美味しいことでしょう。季節を問わず、ぜひお出かけください。


眺望も抜群!広大な敷地でハイキングやバーベキューも楽しめる「県立七沢森林公園」

「川魚料理ますや」から麓の風景が広がる平坦な道を歩き、30分ほどで到着するのが「県立七沢森林公園」です。神奈川県で3番目の広さを誇る県立公園で、広さは64.6ヘクタール。なんと東京ドーム13.8個分という大きさです。

公園で最も低い場所の標高は約70mで、最も高い場所(巡礼峠付近)は197mと、公園内で標高差が120mほどあります。広いだけでなく起伏もあり、小高い山をまるごと公園にしたようなスケール感です。

バス通りからも見えるアーチ状の「森のかけはし」は、公園のシンボル的存在で南北に広い公園の真ん中を繋いでいます。七沢方面からは「森のかけはし」をくぐって左手にある中央口から公園に入ってみましょう。

中央口には公園の管理事務所と「森の民話館」があります。管理事務所前では、公園を含む近隣のガイドマップを無料で配布しています。広い園内の散策に、ぜひ利用しましょう。

「森の民話館」では、その名の通り地域の語り部の方による「民話の語り」(無料・毎月第三日曜日)が開催されるほか、昆虫の飼育展示(時期限定)やクラフト体験(有料・毎日開催)として、ドングリの実や木の枝など自然素材を使用したオブジェづくりを楽しむことができます。

森の民話館の先から、さっそく緑豊かな遊歩道がはじまります。起伏に富んだ地形、一部は山道のような歩道もありますので、山歩きに適したシューズでの来園がお勧めです。分岐するところには行き先を示す標識がありますので、公園内の目的地を確認して進みましょう。

公園内は、雑木林を抜けるように森林セラピーロードとして整備された「尾根のさんぽ道」や「沢のさんぽ道(2024年8月現在、閉鎖中)」などの複数の遊歩道が通り、広い園内に点在している広場や駐車場に繋がっています。

緑豊かな園内を歩いていると、野鳥のさえずりが聞こえたり、昆虫などを見つけることができたりと、自然に触れることで、町中を歩いている時とは異なる癒しやリラックスを感じられます。

森の民話館から「いこいの丘」を経由し、尾根のさんぽ道を歩いて約20分で到着するのは、天然芝が一面に広がる「おおやま広場」です。「森のかけはし」の南側に位置し、目の前には大山に連なる東丹沢の山々、鐘ヶ嶽も望むことができます。公園内で最も大山側の眺望が楽しめる広場で、ピクニックにもぴったりの場所です。

この広場の端にはシャクナゲ園があり、春にはピンクや赤の西洋シャクナゲと大山の眺望を楽しみに来園される方も多いそう。園内の複数個所で約2,300株ものシャクナゲが植えられており、たくさんの花を咲かせ季節を彩ります。

「おおやま広場」から歩いて5分程度、公園の最も南側にあるのは「アスレチック広場」です。お子さんが楽しむことができるアスレチックの遊具が10種ほど常設されており、無料で楽しむことができます(一部メンテナンス中で使えないこともあります)。

「アスレチック広場」から「尾根のさんぽ道」を北に向けて進んでゆくと、ところどころ視界の開けた場所があります。「やまゆり展望台」や「もみじ展望台」をはじめ、ベンチやテーブルもある「ながめの丘(写真)」は、散策途中の休憩にもぴったりのスペース。晴れた日には相模平野を一望でき、江の島はもちろんのこと、横浜や都心の高層ビル群、東京スカイツリーを望むことができます。

「尾根のさんぽ道」をさらに北側へ進むと巡礼峠(とうげの広場)に至ります。「巡礼」の名が付くこの峠道は、鎌倉時代以前から日向薬師や大山寺などへ向かう古道として長年使われてきた、歴史ある道です。付近にはベンチもあり、木漏れ日もあって吹き抜ける風も心地よい場所です。

巡礼峠は日向薬師と物見峠(白山、飯山観音長谷寺方面)を繋ぐハイキングコースの一部として、「関東ふれあいの道」として整備され、現在も多くのハイカーに親しまれています。この巡礼峠から公園内の最も北側にある「森のアトリエ」へ向かいましょう。

七沢森林公園の最も北にある施設が「森のアトリエ」です。春にはソメイヨシノや山桜のピンク色に染まるという森のアトリエ前には、「さくらの園」の名称で親しまれる美しい芝の広場が広がっています。まるでスイスのように山の緑に囲まれたこの広場では、定期的にアルプホルン演奏会も開催されています。

森のアトリエの建物内では、陶芸体験(有料)や木工教室(有料)などの創作系の体験プログラムが用意されており、まさに創作の場所として活用されています。

広い県立七沢森林公園内には、ほかにもバーベキュー場(要予約・有料)でのバーベキューをはじめ、「ノルディックウォーキング体験(有料・レンタルポール100円)」などのアクティビティー系から、野鳥や昆虫や草木などを対象とした自然観察会(要予約・無料)などのカルチャー系まで多様な体験プログラムが用意されています。体験プログラムは県立七沢森林公園のホームぺージで確認することができます。

園内を隅々まで歩くと1万歩を超える広大な七沢森林公園。時間と体力に合わせてウォーキングするだけでも森林セラピー効果を実感できますし、眺望のよい広場での読書やピクニックなど、ゆっくりとした時間を過ごすのも贅沢なひと時となりそうです。自然豊かな環境でのウォーキングやピクニックを楽しみたい時には、ぜひ県立七沢森林公園へお出かけください。


県立七沢森林公園 四季の草花

園内で2,300株を超えるシャクナゲが有名な七沢森林公園は、「かながわの花の名所100選」にも選ばれています。ほかにも四季折々の花々や草木、紅葉を楽しむことができるので、季節ごとに訪れるのもおすすめです。

森のアトリエ周辺の桜(3月下旬~4月上旬)
森のアトリエ前の広場は「さくらの園」という名の通り、桜の木々に囲まれています。広々とした芝生広場から、斜面に植えられた桜を見上げる光景はまさに絶景。年によってはミツマタとの共演を楽しむこともできます。

森のかけはし周辺のシャクナゲ(4月下旬~5月)
橋のたもとに植えられた西洋シャクナゲ。ほかにも、おおやま広場近くのシャクナゲ園には数十品種のシャクナゲが植えられており、色とりどりの花を楽しむことができます。

森のあじさい階段(6月)
森のアトリエ前からアクセスする「森のあじさい階段」は、階段の両側をたくさんの白いあじさいの花が彩ります。

寸草亭の紅葉(11月~12月)
森の民話館の先にある寸草亭。周辺には小川が流れており、春には新緑、秋には紅葉を楽しめるスポットです。自然観察や家族での写真撮影などにも利用されている憩いの場所です。

四季の花 写真提供:神奈川県立七沢森林公園


※文中で紹介する公園内一部施設はメンテナンスなどで使用できない場合があります。県立七沢森林公園のホームページ等で最新情報をご確認ください。


記事のスポット情報

今回は、小田急線を利用し、神奈中バスで七沢エリアを訪れ、釣り堀や七沢森林公園でのウォーキングやピクニックを楽しむ日帰りプランのご紹介でした。本厚木駅までは新宿駅から50分弱で到着します。豊かな自然を身近に感じることができる厚木市七沢へ、ぜひお出かけください。

※掲載情報は取材日時点(2024年7-8月)のものです。

INFORMATION

川魚料理 ますや

広沢寺温泉近く、七沢川沿いにある釣り堀体験と川魚料理を提供するお店です。手ぶらでも釣り堀を楽しむことができ、釣ったニジマスやイワナをその場で調理してもらい、いただくことも。食事だけの利用もできます。一年を通し、土日祝日のみの営業。荒天などの場合は休業することも。営業はSNSでご確認の上、お出かけください。

INFORMATION

県立七沢森林公園

厚木市西部の丘陵地に位置する県立七沢森林公園は、面積64.6ヘクタールの広大な公園。自然豊かな園内は適度なアップダウンがあり、ウォーキングにも最適。数種類の散策コースがあり、四季折々の花を楽しむこともできます。森林浴やハイキングをしながらすがすがしい空気や木の香り、鳥のさえずりなどに心癒されるスポットです。