風情あふれる空間で楽しむ大山の和スイーツ

神奈川県伊勢原市の大山を訪れる人々に美味しい和スイーツを提供する人気店「茶寮 石尊」と「清水屋」をご紹介します。大山阿夫利神社、大山寺への参拝や登山・ハイキング途中の休憩に、風情あふれる空間と美味しいスイーツでほっと一息つきましょう。

ミシュランも認める眺望でいただく抹茶を使用した濃厚な升ティラミス「茶寮 石尊」

2019年4月27日、大山阿夫利神社下社の境内にオープンした「茶寮 石尊」。大山の主神の一つとして祀られる大山祇神(おおやまつみのかみ)は、「大山石尊権現」や「石尊大権現」と呼ばれて、店名は大山に祀られる神の名に由来し「石尊」とされたそうです。

東京スカイツリー(634m)の最上部より高いこの場所は、後ろは大山、前方には相模灘が広がっており「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも、「大山阿夫利神社下社からの眺望」が二つ星を獲得するなど、今や世界で認められる観光スポットとなっています。

境内の建物をリノベーションして作られたモダンな意匠は、建築家堀部安嗣氏によるもの。もともとあった神事の待合室だった場所を活かしてカフェテリアとされたそうです。

国産杉を中心に木を多用したインテリアの店内には、晴れた日はテラス席と隔てるものもなく高原のような空気が入ってくる気持ちのよいテーブル席と、壁や障子の白色と白木のコントラスも美しいモダンな座敷スタイルの客席があります。

お店の看板メニューはこの空間に相応しい升に入った和風ドルチェ「升ティラミス」です。抹茶パウダーのすぐ下には、ほのかに黄色を帯びたクリームがたっぷり。クリームチーズに地元伊勢原の坂本養鶏さんの新鮮な卵黄を混ぜて仕上げるオリジナルレシピとのこと。ひと口味わってみると、ビターな抹茶と濃厚でコクのあるクリームのバランスが絶妙で、見た目だけでなく、しっかりと美味しさでも支持されている理由が分かります。多い日には300個もオーダーが入るそうですが、全て手作りされているというから驚きます。

また大山豆腐と米粉を使った「シフォンケーキ」も人気で、こちらは麓のケーキ屋さんに焼いてもらっているそう。お好みでホイップクリームやチョコレートソースはもちろんバニラアイスやあんこなどをトッピングすることも。他にも水まんじゅうや羊羹などの和菓子もラインアップされています。

「雨降山と呼ばれる通り、この大山は雲に覆われる日も多いのですが、そのような時でも、急に目の前に大きな虹が出来たり、雲海が広がったり、雨の日の静けさもまた良いのです」と語るのは、茶寮石尊の寮長であり、権祢宜も務める目黒さん。

大山詣りの目的地でもあった彼の地に、ミシュランも認める眺望や洗練されながらも居心地のよい空間、そしてここでしか味わえないスイーツや甘味を楽しみに、大山・大山阿夫利神社下社へぜひお出かけください。大山への登山やハイキング途中の寄り道にもお薦めです。

INFORMATION

茶寮 石尊

「茶寮 石尊」は大山阿夫利神社の下社に隣接する人気のカフェ。テラスから見える眺望はミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで二つ星を獲得しています。木々の緑と相模湾の青に身も心もリフレッシュすること間違いなしです。


かき氷だけじゃない!自家製あんこたっぷりのあんバターチーズサンドも人気急上昇「清水屋」

伊勢原駅から神奈中バスで約20分、「大山駅」バス停からすぐ。清水屋は、暑い季節には山盛りのかき氷を求めて、開店待ちの列ができる人気店です。秋から春までの寒さを感じる季節は、つきたてのお餅や自家製のあんこを使った甘味で大山を訪れる人々を歓迎し、もてなし続けています。

「大山の門前町の入口の場所で祖母が1960年前後に土産物店と軽食のお店として開店したのが清水屋の始まりです」と話すのは、現在ご両親と一緒にお店を切り盛りする3代目のテツヤさん。以前からの親しみやすい雰囲気とメニュー構成をベースに、清水屋さんを徐々にアップデートされています。

2022年の秋、新メニューとして登場した「あんバターチーズサンド」は、15センチほどのコッペパンに、自家製のつぶあんと、バターとチーズを混ぜ合わせたクリームをたっぷり挟んだもの。もともとは従業員さん向けの賄いメニューだったそうですが、スタッフ間で好評だったことから販売することに。瞬く間に人気メニューとなりました。

手にすると、ずっしりと重みを感じるほど。「熱々で提供するのが特徴です。バターだけだと溶けやすいということもあり、チーズも入れて食感と濃厚な風味を最後まで楽しめるように工夫しています」とのこと。クリームチーズを使っているそうで、バターとチーズのちょうどよい塩加減とほのかな酸味が、つぶあんの甘さを一層引き立て、よく合います。

食べ応えのある大きめサイズのお餅も自家製というから驚きです。自家製こし餡でつくる「おしるこ」や定番の「磯辺焼き」以外にも「きなこ」「甘味噌」と4つの味を楽しむことができます。お餅自体に旨味があり、「お餅を食べたぞ」という気持ちがしっかりと満たされます。

ご近所の豆腐屋さん「湧水工房」の絹豆腐をつかった「豆腐のデザート」にも、自家製のつぶあんが添えられた人気の一品。わらび餅や季節の果物も盛り付けられます。お豆腐とは思えないほどクリーミーな食感、濃厚な味を楽しめる絹豆腐を黒みつ、きなこ、つぶあんと一緒にいただきます。

ロングセラーとして人気の「みそおでん」は、茅ケ崎のこんにゃく製造の老舗「渡辺特殊食品」製。香りと風味のある昔なつかしいこんにゃくに、自家製の味噌タレをたっぷりと絡めていただきます。味噌に胡麻と砂糖を加えた甘口タレの懐かしい味とこんにゃくがよく合って、3本ペロリと食べられます。

例年ゴールデンウィーク頃から販売を開始し、10月末頃まで提供される 大山の夏の風物詩とも言われる清水屋のかき氷。中でも1番人気は「つぶつぶイチゴミルク」で、大きさは高さ30センチほど!まさに大山のような山盛りのふわふわ氷につぶつぶとした果肉感も残る真っ赤な濃厚いちごシロップがこぼれんばかり。甘さと苺本来の香りと酸味のバランスも絶妙で、最後の一匙まで美味しく食べきることができます。

「宇治金時(ハーフサイズ・写真 右)」も、ほどよい甘さに渋みの効いたお抹茶シロップが絶品です。別添えの「つぶあん」と「練乳」もたっぷりで、途中からの味変も楽しめ宇治金時好きにとっては理想形の一品。甘すぎず上品な味わいと食感の「つぶあん」も自家製とのこと! 白玉などのトッピングを追加できたり、他のシロップの種類も多く、盛夏には山盛りのかき氷を求めて多くのお客様が来店されます。

歴史と自然あふれる大山の玄関口で、昭和、平成、令和と3代続く清水屋さん。暑い季節のかき氷も人気ですが、寒い季節のお餅メニューや自家製あずきをたっぷり使った「あんバターチーズサンド」や「豆腐のデザート」 など和スイーツもお薦めです。

清水屋さんのどこか懐かしいレトロ空間と手作りの甘味や軽食を味わいに、ぜひお出かけください。

INFORMATION

清水屋

小田急線伊勢原駅北口から神奈中バスで約20分、大山駅バス停前、大山への入口となる場所にあるのが清水屋です。3代目店主が始めた、4月から10月に提供する種類豊富な「創作かき氷」が人気のお店。寒い季節限定の「あんバターチーズサンド」や自家製のお餅メニューも人気。