神奈川の日帰り登山スポット11選|初心者向けの安全コースとアクセス情報を紹介

都心からアクセス良好な丹沢・大山エリアの日帰り登山スポット

神奈川県には、日帰りでの登山にぴったりな山がたくさんあります。特に、県北西部の丹沢山地を中心とする丹沢・大山エリアは都心からのアクセスもよく、週末のリフレッシュに最適なエリアです。

旅行で訪れるスポットや週末のちょっとしたお出かけに登山を楽しんでみませんか?本記事では、日帰り登山におすすめの丹沢・大山エリアのスポットを11カ所ご紹介します。

それぞれの特徴や初心者向けコース、アクセス情報などもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。


登山に関する基本情報

丹沢・大山のエリア情報

神奈川県に位置する大山・丹沢エリアは、都心から日帰りでアクセスできる登山スポットとして人気を集めています。

 

丹沢は自然公園法によって「丹沢大山国定公園」と「県立丹沢大山自然公園」に指定されており、その東端に位置する大山は2016年に文化庁の「日本遺産」に認定されるなど、歴史や文化の面でも見どころの多い場所です。

 

このエリアの魅力は、初心者から上級者まで楽しめる多彩な登山ルートです。ケーブルカーを使えば初心者も楽しめる山もあれば、やせ尾根や鎖場が続く上級者向きのルートもあります。特に、塔ノ岳や鍋割山の山頂から広がる絶景は、多くの登山客を魅了しています。山小屋や休憩所も点在しているため、無理のないペースで登山を楽しめるでしょう。
また、丹沢は紅葉や新緑の美しさでも知られるエリアです。季節ごとに異なる表情を楽しめるため、1年を通して多くの登山客が訪れます。山登りだけでなく、自然豊かな環境を活かした森林浴や沢登り、観光を楽しめる点も魅力です。

都心から丹沢・大山への行き方(アクセス)

丹沢・大山エリアは、都心から公共交通機関を利用して日帰りで訪れることができます。登山の拠点となる本厚木駅、伊勢原駅、秦野駅、渋沢駅には、新宿駅から小田急線で、約1時間で到着します。各山の登山口には、それぞれの駅から路線バスでのアクセスが可能です。

登山に関する注意点

登山道には、足場の悪い箇所も多いです。登山の際は滑りにくい登山靴を履き、季節に応じて防水性・防寒、通気性など、必要な機能を備えたウェアを着用してください。肌着やアンダーウェアは、できるだけ速乾性の高いものがおすすめです。

水分は十分に持参し、こまめに補給するようにします。非常時のためにチョコレートやナッツなどの行動食も準備しておくと安心です。

また、もしも遭難した場合に迅速に救助してもらえるよう、登山計画書を提出しておきましょう。丹沢・大山エリアでは、小田急線伊勢原駅、秦野駅、渋沢駅の駅前交番や、それぞれの山の登山口に登山計画書の投函箱があります。オンラインでの提出も可能です。

登山道の通行止め状況や天候は、事前に必ず確認しましょう。県立ビジターセンターに問い合わせると最新情報が得られるので、ぜひ活用してください。


【秦野エリア】

秦野エリアの登山の拠点となる駅は、小田急線鶴巻温泉駅、秦野駅、渋沢駅の3つです。どの駅も新宿駅から約1時間で到着できます。各山の登山口には、それぞれの駅から路線バスに乗って向かいましょう。

3つの駅周辺には、地元の食材を使ったメニューを提供している飲食店が多数あるだけでなく、日帰り入浴が可能な施設も多いです。例えば、秦野駅から無料シャトルバスを利用できる宿泊施設『万葉の湯』は、日帰りでの入浴や食事を楽しめます。また、鶴巻温泉駅から徒歩2分の『弘法の里湯』は、2つの源泉を楽しめる公営の入浴施設です。

塔ノ岳や鍋割山、三ノ塔への登山の拠点となる「大倉」バス停は、周辺に飲食店が点在しています。地元の食材や特産品をぜひ味わってみてください。

秦野市は環境省選定「名水100選」に選ばれる美味しい湧き水でも知られています。町のあちらこちらで清らかな水が湧き出ているため、水汲みスポットも豊富です。

1.塔ノ岳

塔ノ岳は、神奈川県秦野市・清川村・山北町にまたがる標高1,491メートルの山です。丹沢山地の南部に位置し、山頂からは富士山や相模湾、江の島、伊豆大島、南アルプスまで一望できます。体力や時間的に不安な方は、山頂や登山道沿いの山小屋(営業日要確認・要予約)に宿泊し、のんびり登山されるのもおすすめです。

塔ノ岳へのコースは主に3つあり、1つ目の「大倉尾根ルート」は、「大倉」バス停から塔ノ岳山頂を往復する最短ルートです。標高差約1,200メートルの通称「バカ尾根」を一気に進む体力が必要なルートですが、休憩ポイントが多く自分のペースで登れます。所要時間の目安は、休憩時間を除き登りが約3時間40分、下りが約2時間30分です。

2つ目の「鍋割山経由ルート」は、「大倉」バス停から鍋割山を経由して塔ノ岳に至るルートです。所要時間は登りが約5時間20分、下りは大倉尾根を下る最短コースでも約2時間30分かかるので、日帰り登山を計画している場合には、早めの出発を心がけましょう。2つのルートの登山口最寄りの「大倉」バス停は、小田急線渋沢駅から約15分で到着します。

3つ目の「ヤビツ峠ルート」は技術的難易度がやや高いルートで、ヤビツ峠から表尾根を経て塔ノ岳を目指します。所要時間は登りが約4時間、下りが約3時間20分です。道中のアップダウンが多く、鎖場や岩場も点在しているため、十分に注意して登山に望みましょう。

帰りはヤビツ峠への往復も可能ですが、ヤビツ峠から秦野駅へのバスは土日でも午後4時頃までしか出ていないため、午後6時頃までバスが出ている大倉へ下るコースもおすすめです。

登山口がある「ヤビツ峠」バス停には、秦野駅から約50分で到着します。

INFORMATION

塔ノ岳
標高:1,491メートル
所在地:神奈川県秦野市、愛甲郡清川村、足柄上郡山北町
位置:丹沢山地南部
アクセス:
小田急線「渋沢駅北口」から「大倉行」バスで約15分、「大倉」下車(大倉屋根ルート・鍋割山経由ルート)
小田急線「秦野駅北口」から「ヤビツ峠行」バスで約50分、「ヤビツ峠」下車(ヤビツ峠ルート)

2.鍋割山

標高1,272メートルの鍋割山は、多彩な自然環境を楽しめる山として人気があります。神奈川県秦野市と松田町にまたがる、丹沢山地南部の山です。林道や沢沿い、尾根歩きなどバリエーション豊かな登山道が特徴的で、さまざまなタイプの山歩きを体験できます。

山頂の西側や南側は開けていて、富士山や相模湾、箱根山系を見渡せます。特に、冬の澄んだ空気の中で眺める絶景は格別です。また、山頂の『鍋割山荘』では名物の「鍋焼きうどん」を楽しめます。『鍋割山荘』の定休日や営業時間は、事前に調べておきましょう。

鍋割山へのルートは、大倉のバス停を起点に、二俣、後沢乗越を経由して山頂に至るルートです。林道から始まり、沢沿いの道を抜けて尾根を歩くため、登山が初めての方も徐々に身体を慣らしていくことができます。

所要時間の目安は往復約7時間と長めですが、塔ノ岳と同じく小田急線「渋沢駅」からバスで約15分で登山口の「大倉」に到着するアクセスの良さも魅力です。体力と時間に余裕がある方は、鍋割山稜へ足を延ばし、塔ノ岳とあわせた山行にも挑戦してみましょう。

INFORMATION

鍋割山
標高:1,272メートル
所在地:神奈川県秦野市、足柄上郡松田町
位置:丹沢山地南部
アクセス:小田急線「渋沢駅北口」から「大倉行」バスで約15分、「大倉」下車

3.弘法山

秦野市東部の弘法山は、標高235メートルの低山です。弘法大師(空海)ゆかりの山として知られ、山頂には釈迦堂や鐘楼があり、歴史的な趣を感じられます。隣接する権現山・浅間山とともに「弘法山公園」として整備されており、初心者にもおすすめの登山スポットです。

弘法山公園は桜の名所として知られており、春には1,400本以上の桜が咲き誇ります。また、秋にはモミジの紅葉が美しく、季節ごとに異なる景色を楽しめるでしょう。各山頂は、それぞれに展望が開けています。特に権現山の展望台は、西は富士山、 南は伊豆大島、北は大山を一望でき、360度のパノラマビューが楽しめる絶景スポットです。また、2024年12月に弘法山山頂に展望デッキが新設され、相模湾から東京副都心まで眺めることができます。

登山初心者の方には、秦野駅から浅間山、権現山、弘法山、吾妻山を経て鶴巻温泉駅へ至る縦走ルートがおすすめです。所要時間の目安は約2時間10分、全長約7.5キロメートルのコースはアップダウンが緩やかなうえ、道中には展望台や休憩所が点在しています。鶴巻温泉駅から秦野駅に向かうコースも可能です。

弘法山公園の登山口には、小田急線秦野駅から徒歩40分で行くことができます。また、路線バスもあるため、体力に自信がない方も安心です。

弘法山のふもとには、『名水はだの富士見の湯』という入浴施設があります。。美肌成分「メタケイ酸」を含む良質な軟水のお湯が人気で、登山後の疲れを癒すのにぴったりです。食事処やリラクゼーション施設もあるため、登山の疲れをしっかり癒して帰宅できます。

INFORMATION

弘法山
標高:235メートル
所在地:神奈川県秦野市南矢名
アクセス:
「秦野駅北口」から「曽屋弘法行き」バスで約11分、「弘法山入口」下車後、徒歩約10分(丹沢・大山フリーパス対象区間外)
「秦野駅北口」から徒歩約40分
※いずれも弘法山公園登山口まで

4.頭高山(ずっこうやま)

沢丘陵の西南部に位置する頭高山(ずっこうやま)は、標高303メートルの低山ながら四季折々の景色を楽しめる山として知られています。「登山」よりも「ハイキング」の表現がぴったりで、登山をするほどの体力はない初心者の方にもおすすめ。山頂からは丹沢山系の山々や松田町方面の景色を一望できるほか、晴れた日には相模湾を望むこともできます。

山頂に秋葉神社の祠があることから、頭高山は江戸時代末期まで「秋葉山」と呼ばれていました。周辺には、震生湖や泉蔵寺など自然や歴史を感じられる観光地も点在しています。

おすすめのハイキングコースは、主に2つです。

1つ目は小田急線「渋沢駅」から二つ塚、泉蔵寺、白山神社を経て頭高山山頂をめぐり、再び渋沢駅へ戻る「頭高山コース」。歩行時間約2時間15分ながら変化に富んだ道を楽しめます。渋沢駅から頭高山入口までは徒歩約1時間、市街地のウォーキングから始まりますが、後半は林間を進むため、自然とのふれあいも味わえるでしょう。頭高山がある秦野市千村地区は、春には食用八重桜で彩られる「八重桜の里」です。また、道中の『泉蔵寺』に咲くたくさんのチューリップも登山客の目を喜ばせています。

2つ目は、小田急線秦野駅から震生湖、自然豊かな丘陵地帯を経て頭高山に登り、渋沢駅へ下山する「渋沢丘陵縦走コース」です。歩行時間は2時間15分で、各展望スポットから望む丹沢山系の山並みを楽しめるのも魅力です。

INFORMATION

頭高山(ずっこうやま)
標高:303メートル
所在地:神奈川県秦野市千村
位置:渋沢丘陵の西南部
アクセス:
「渋沢駅南口」から徒歩約1時間(頭高山コース)
「秦野駅南口」から約2時間(渋沢丘陵縦走コース)
※いずれも頭高山入口まで

5.三ノ塔

標高1,205メートルの三ノ塔は、四季折々の自然美を満喫できる季節ごとに訪れたい山です。山頂は大きく開けていて、富士山や相模湾、箱根連山などの雄大な景色を望めます。三ノ塔山頂へは塔ノ岳や大倉、ヤビツ峠方面など複数の登山道があるため、多様なコース設定ができる点も魅力です。

ヤビツ峠から三ノ塔を目指すルートは、比較的山行時間が短く、道が整備されているため初心者も安心して歩けます。往復約4時間の道中には、富士山や相模湾、大山 などが見えるスポットがあり、絶景を楽しみつつの登山が可能です。ヤビツ峠の登山口は、小田急線秦野駅から「ヤビツ峠行」のバスで約50分かかります。

大倉から三ノ塔へ向かう三ノ塔尾根ルートでは、景観のよいスポットや茶屋、休憩所もなく、ただひたすらに登り続ける道となります。人工林の間を片道約3時間かけ、心を空っぽにして登山するのもよいでしょう。大倉までは、小田急線渋沢駅から「大倉行」のバスで約15分で到着します。

INFORMATION

三ノ塔
標高:1,205メートル
所在地:神奈川県秦野市横野
アクセス:
小田急線「秦野駅北口」から「ヤビツ峠行」バスで約50分、「ヤビツ峠」下車(ヤビツ峠~三ノ塔ルート)
小田急線「渋沢駅北口」から「大倉行」バスで約15分、「大倉」下車(大倉~三ノ塔ルート)


【伊勢原エリア】

神奈川県のほぼ中央に位置する伊勢原市は、県内有数の絶景スポット「大山」のふもとに広がる街です。登山の拠点となる小田急線「伊勢原駅」には、新宿駅から1時間以内に到着します。それぞれの山の登山口近辺までは、伊勢原駅からの路線バスで向かうとよいでしょう。

伊勢原駅の1駅隣の鶴巻温泉駅には日帰り入浴施設があります。地元の特産品や食材を楽しめる飲食店も充実しているので、登山の際はぜひ温泉や食事も堪能してみてください。

また、伊勢原市は古くから果物の生産が盛んな「フルーツの里」として知られています。ぶどうや梨、みかん、いちご、ブルーベリーなどさまざまな種類の果物が栽培されていて、旬を迎える時期には国道246号線沿いに多くの直売所が並びます。果物狩り体験ができる果樹園も多いため、登山の前に1度チェックしてみるのもおすすめです。

6.大山

標高1,252メートルの大山は、神奈川県伊勢原市、秦野市、厚木市にまたがる山です。春には新緑、秋には紅葉など季節ごとの自然を楽しめるうえ、山中には『大山阿夫利神社』や『大山寺』などの歴史的な寺社も存在します。江戸時代には、多くの人々が「大山詣り」として寺社を訪れていました。

また、大山は「関八州の展望台」ともいわれており、その山頂は県が指定する「かながわの景勝50選」にも選ばれています。山頂に立つと眼下には相模湾や江の島が広がり、富士山の姿も望めます。

大山にはケーブルカーがあるうえ、登山道は整備されているため、初心者や家族連れの登山にもおすすめです。例えば、小田急線伊勢原駅からバスで大山ケーブル駅に向かい、ケーブルカーで阿夫利神社下社まで行くと、山頂まで約2時間のコースになります。体力に自信がない方やお子さま連れでの登山にぴったりのルートです。

大山ケーブル駅から徒歩で阿夫利神社下社に向かう「女坂・男坂コース」の場合、ケーブルカー利用コースよりも片道約1時間長く楽しめます。途中には緩やかな「女坂」と急な「男坂」があり、それぞれの登山道を味わえます。女坂沿いには、大山寺のほか「七不思議スポット」も点在しているため、歴史好きの方にもおすすめです。

小田急線秦野駅から「ヤビツ峠」に向かい、イタツミ尾根を経て大山を目指すこともできます。ヤビツ峠から山頂までの約1時間30分は比較的緩やかな登りが多く、道中には富士山や相模湾が見えるスポットも点在しています。

大山周辺には、名物の「大山とうふ」を味わえる飲食店が多くあり、バスの終点から大山ケーブルカーまで続く「こま参道」には、土産物店や飲食店が軒を連ね、ショッピングや食事も楽しめます。また、大山の宿坊『旅館髙尾』『東學坊』は日帰り入浴も可能な施設です。営業日や時間などを調べたうえで、登山後の汗を宿坊で流して帰るのもよいでしょう。

INFORMATION

大山
標高:1,252メートル
所在地:神奈川県伊勢原市、秦野市、厚木市
アクセス:
小田急線「伊勢原駅北口」から「大山ケーブル行」バスで約30分 「大山ケーブル」下車(大山ケーブルカー利用コース、女坂・男坂コース)
小田急線「秦野駅」から「ヤビツ峠行」バスで約50分 「ヤビツ峠」下車(ヤビツ峠ルート)

7.日向山(ひなたやま)

丹沢山地南東部の日向山(ひなたやま)は、歴史的な背景と自然が豊かな山です。標高は404メートル、伊勢原市と厚木市の市境付近に位置しています。ふもとには、奈良時代の僧・行基が創建したとされる『日向薬師(宝城坊)』があり、修験道(しゅげんどう)の拠点として栄えました。

日向薬師は、国指定重要文化財を9件有する歴史的価値が高い寺院です。宝殿では、薬師如来像などの文化財を拝観することができます。また、駐車場脇の『日向梅園』では2月頃になると約100本の梅の花が咲き誇り、春の訪れをより感じられます。

日向山の登山道は広葉樹林に囲まれており、春の新緑や秋の紅葉が美しい道です。日向薬師から日向山山頂を目指し、七沢温泉に下山するルートは、日向薬師での拝観とハイキングを組み合わせた軽登山コースです。約2時間40分の行程ながら、約40メートルの一枚岩『滑岩(なめりいわ)』や弁財天を祀っている石の鳥居『大釜弁財天』など、見どころが多数あります。下山後は、歴史ある旅館や温泉施設が点在する七沢温泉で日帰り入浴も可能です。

登山コースの拠点となる日向薬師までは、小田急線伊勢原駅からバスで約20分の「日向薬師」で下車後、徒歩約20分で到着します。七沢温泉に下山した後は、周辺の飲食店や酒蔵で地元の食材を味わってみてください。

INFORMATION

日向山(ひなたやま)
標高:404メートル
所在地:神奈川県伊勢原市日向
位置:丹沢山地南東部、伊勢原市と厚木市の市境付近
アクセス:
小田急線「伊勢原駅北口」から「日向薬師行」バスで約20分 「日向薬師」下車後、徒歩約20分
※日向薬師までの所要時間です

8.聖峰(ひじりみね)

標高約380メートルの聖峰(ひじりみね)は、初心者や家族連れに人気のハイキングスポットです。丹沢山地南東部に位置し、山頂からは相模湾や江の島、東京方面、房総半島まで一望できます。冬の晴れた日には特に遠くまで見渡せる絶景スポットです。

山頂付近には、安産・長寿の守護仏として『聖峰不動尊』が祀られています。また、聖峰近くには紀元前655年創建とも伝わる『三之宮比々多神社』もあるため、歴史や寺社仏閣が好きな方にもおすすめです。

聖峰の登山道は広葉樹の自然林に囲まれていて、季節ごとに山の色合いを感じながら歩くことができます。特に、聖峰、高取山を経由して『いせはら塔の山緑地公園』に至る聖峰・善波コースは、春には桜や菜の花を楽しむことができ、自然を感じながらのハイキングに最適です。

聖峰の登山口までは、小田急線伊勢原駅からバスで約20分の『保国寺』そばで下車するとよいでしょう。バスの本数は少なめなので、事前にどのバスに乗るか調べてから出発するとスムーズです。保国寺近辺は自由乗降区間となっているため、ご自分のタイミングで降車できます。

聖峰から高取山、弘法山を経由して秦野駅方面に下山するコースは、アップダウンが少なくて歩きやすい点が魅力です。道中には相模湾や丹沢山系を一望できるスポットもあるうえ、春には桜が咲き誇ります。弘法山公園はピクニックにもぴったりなので、家族連れでの登山にもおすすめです。

どちらのコースも所要時間の目安は4時間程度なので、見たい景色やご自分の体力と相談して選んでみてください。

INFORMATION

聖峰(ひじりみね)
標高:約380メートル
所在地:神奈川県伊勢原市三ノ宮
位置:丹沢山地南東部
アクセス:
小田急線「伊勢原駅北口」から「栗原行」バスで約20分 「保国寺(自由乗降区間)」そばで下車(※バスの本数が少ないため注意)


【厚木エリア】

神奈川県の内陸部に位置する厚木エリアには、小田急線新宿駅から約50分で到着します。登山の拠点となる本厚木駅は、特急ロマンスカーの停車本数も多い便利な駅です。

厚木市は、2023年から市内の飯山温泉、七沢温泉、広沢寺温泉、かぶと湯温泉の4カ所を「あつぎ温泉郷」としてPRしており、登山後に立ち寄るのもおすすめです。

市内の『天然温泉 湯花楽』や『湯乃泉 東名厚木健康センター』などのスーパー銭湯も、バリエーション豊かなお風呂やサウナで人気があります。また、本厚木駅周辺には名物の豚ホルモン焼きをはじめ地元のグルメを楽しめる飲食店が立ち並んでいるため、登山後の食事も楽しめるでしょう。

9.白山(はくさん)

丹沢山地南東部の白山(はくさん)は標高284メートル、厚木市街地から北西約7キロメートルの飯山地区に位置する低山です。春には中腹にある『飯山観音長谷寺』周辺に桜が咲き誇り、11月中旬から12月上旬には『飯山白山森林公園』の紅葉が見頃を迎えます。

白山には、飛鳥時代から奈良時代にかけて活躍した僧侶行基(ぎょうき)が霊水の湧き出る池をこの地に見つけたことから創建されたと伝わる『白山神社』があります。社殿前の「白山池」は枯れたことがないといわれており、雨乞いの霊地として古くから信仰される神社です。

白山ハイキングコースでは、歴史を感じる寺社仏閣や季節ごとの自然美を存分に楽しめます。白山登山口から扇の広場、桜山山頂、白山神社、白山展望台を経由して、飯山観音長谷寺へ下山するルートです。所要時間は1時間35分、整備された登山道にはトイレやベンチも設置されているため、初心者も自分のペースで歩くことができます。下山後は、近くの『龍蔵神社』への参拝も可能です。

白山展望台は、絶景スポットとしても人気です。特に晴れた日の白山展望台からは、横浜みなとみらいや新宿の高層ビル群、東京スカイツリー、筑波山まで一望できます。白山登山口には、小田急線本厚木駅からバスで約25分の「尼寺(にんじ)」バス停で下車後、徒歩5分ほどで到着します。

飯山エリアには、あつぎ温泉郷『飯山温泉』のほか、カフェや焼肉店も点在しています。また、白山からほど近い『東丹沢グリーンパーク』は、アスレチックを楽しめる家族連れに人気のスポットです。

INFORMATION

白山(はくさん)
標高:284メートル
所在地:神奈川県厚木市飯山
位置:丹沢山地南東部、厚木市街地から北西に約7キロ
アクセス:小田急線「本厚木駅北口」から「上飯山行」または「宮ケ瀬行」または「上煤ケ谷行」バスで約25分 「尼寺(にんじ)」下車後、徒歩約5分

10.鐘ヶ嶽(かねがたけ)

鐘ヶ嶽(かねがたけ)は、厚木市七沢に位置する標高561メートルの山です。山頂のすぐ下には『七沢浅間神社』があり、境内近くからは東京スカイツリーや東京湾、房総半島などの絶景を望むことができます。鐘ヶ嶽の登山道には杉林や広葉樹の自然林が広がっているため、杉の瑞々しい青葉と季節ごとの自然美を楽しめるでしょう。

登山初心者が鐘ヶ嶽に登る場合は、広沢寺温泉の入口から山頂を目指すルートがおすすめです。「広沢寺温泉入口」バス停までは、「厚木バスセンター」から約30分で到着します。七沢浅間神社の参道には、山頂までの道程を28の区間に分け、それぞれに「丁石(ちょうせき)」と呼ばれる目印が設置されています。 道中の目安として辿ることができ、眺望が開ける22丁目付近では、巨石に腰かけて一休みしながら厚木市を一望することが可能です。

下山には右・左2つのルートがあり、鎖場など注意が必要な箇所がある左ルートは難易度がやや高めです。初心者の方は、比較的穏やかな右ルートを選ぶとよいでしょう。

近隣の『七沢森林公園』は、自然散策やバードウォッチングも楽しめるスポットです。森林セラピーやノルディックウォークなどのプログラムも開催しているので、鐘ヶ嶽を訪れる際はぜひチェックしてみてください。

INFORMATION

鐘ヶ嶽(かねがたけ)
標高:561メートル
所在地:神奈川県厚木市七沢
アクセス:小田急線「本厚木駅東口 厚木バスセンター」から「七沢行」バスで約30分、「広沢寺温泉入口」下車

11.鳶尾山(とびおさん)

厚木市北西部に位置する鳶尾山(とびおさん)は、市街地からアクセスしやすい里山です。標高234メートルの低山ながら、山頂付近の展望台からは相模湾や新宿の高層ビル群、横浜みなとみらい地区、江の島まで一望できます。付近に植樹されているたくさんの桜は、春になると多くのハイカーを魅了しています。

また、山頂の「一等三角点」は、地図作成や地殻変動の観測に使われる基準点です。鳶尾山の一等三角点は日本で最初に設置されたもので、地形図整備の歴史的な役割をもっています。

そのほか、213段の階段や1650年創建の『金毘羅神社』、眺望を楽しめる展望台など、鳶尾山は多くの見どころがある山です。

鳶尾山のハイキングには、鳶尾団地から山頂を目指し、まつかげ台へ下山するコースがおすすめです。鳶尾山登山口から天覧台公園、金毘羅神社、鳶尾山展望台、山頂を経て「まつかげ台」バス停へ下山します。約1時間30分の行程ながら、変化に富んだ登山道が楽しめるルートです。

鳶尾山は登山口付近に駐車場がないため、公共交通機関を使って移動するとよいでしょう。
小田急線本厚木駅からバスで約25分の「鳶尾団地」バス停には、ハイキングコースを示す看板もあります。

また、下山する「まつかげ台」近辺には、あつぎ温泉郷『飯山温泉』など、観光スポットも充実しています。

INFORMATION

鳶尾山(とびおさん)
標高:234メートル
所在地:神奈川県厚木市棚沢
位置:厚木市北西部
アクセス:小田急線「本厚木駅北口」から「鳶尾団地行」バスで約25分 「鳶尾団地」下車(丹沢・大山フリーパス指定区間外)

まとめ

神奈川県には、初心者でも気軽に楽しめる日帰り登山スポットが数多くあります。

本記事で紹介した丹沢・大山エリアの山は、アクセスの良さや安全性に配慮されたコースが魅力です。さらに、登山後には温泉や地元の食材を使ったグルメも楽しめます。自然豊かな景色に癒されながら、神奈川の新たな魅力を発見してみてはいかがでしょうか。